アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2
-
バルテル王子が放った風の刃が、俺とアルファムの前に突然現れた炎の幕に飲まれて消える。
俺の指先から放たれた光の矢は炎をまとい、バルテル王子の肩を貫いて消えた。
「あ…、できた…。おっ、俺の指からなんか出たーっ!」
「おお!すごいぞ!カナっ」
「カナデ!大丈夫っ?」
その時、翼の生えた栗毛の馬が、少し離れた場所に舞い降りて来た。
「リオ!」
リオが馬から飛び降り、駆け寄って来る。
俺の前で立ち止まると、ジーッと見つめた後にガバッと抱きついてきた。
「カナデっ…、心配したよ?なんだよ、怪我してるじゃん…っ。カナデがなんで城を出たのか、何となくわかってる。でも、もう大丈夫だから…」
「え?あ…、え?そ、うなの…?あっ、それよりも、俺っ、術が使えたよっ!」
「あ~…見てたよ。ちっこい光の矢が出てたね。あれに炎をまとわせて威力を倍にしたの、俺なんだ。あと、相手の攻撃を交わす炎の幕を張ったのも、俺」
「え?…マジで…?なんだ、俺が炎を出したんじゃなかったんだ…」
しゅんと俯いた俺の頭を、アルファムが抱き寄せる。
「それでも術が出せたんだ。よく頑張ったな。すごいぞ」
「アル…。あっ!怪我はっ?見せて…っ」
「大丈夫だ。魔法で止血をしてある。俺よりもカナの傷の方が心配だ。城に戻ったらすぐに治してやるからな」
「ほんとに?大したことない?…よかっ…た…」
俺は安堵したからか、身体から力が抜けて、ふらりとアルファムの胸に寄りかかった。
「カナ?おまえ熱があるじゃないかっ!早く帰るぞっ」
「うん…、あっ、バルテル王子…」
「ん?ああ、あの金髪の男か。カナに肩を射貫かれて膝を着いた時に、仲間らしい男が駆け寄って連れて行ったぞ。あいつめ…俺のカナを傷つけやがって!罰を与え損ねた」
「そう…。いなくなったんだね…。あ、レオンとナジャ…っ」
アルファムが俺を抱き抱えて頬に唇を寄せる。こそばゆくて、でも嬉しくて、俺は顔をずらすとアルファムの唇にキスをした。
「カナ。後でゆっくりと話を聞いてくれ。俺はおまえを手放す気はない。ずっと俺の傍にいて欲しい。カナ…一緒に戻ってくれるか?」
「うん…。あ…でもライラ…」
「ライラはもういない。俺の婚約者でもない。詳しくは後で話す。ところで、そこのスイ国の2人、一度ならず二度もカナを連れ去ろうとしたな」
「あっ、待ってっ。今回は、俺がスイ国に一緒に行くと言ったんだ。だって、アルと離れたら俺には行く所がなかったから…」
アルファムが、すぐ間近にある俺の目を見つめて、こめかみにキスを落とす。
「そうだな…。カナはこの世界で行く所がないのに、俺から離れたくなるような酷いことをしてしまった。本当にすまない」
「そうだ。だから俺が、俺の国で…大切に守ってやろうと思ったのだ…」
少し身体が動くようになったのか、レオナルトが片膝を立てて座り、こちらを見上げていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
45 / 427