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俺が暗い顔をしていたからか、リオが俺の背中をポンと軽く叩いた。
「でも俺の尊敬するアルファム様だからな。即座にカナデを捜す為に城を出た。ライラ様には『俺が戻って来るまでに出て行くように』と仰って」
俺の胸がズキンと痛む。
ライラのことは、あまり好きではなかった。だけど彼女の様子から、彼女はアルファムが好きだった筈だ。アルファムとの結婚を夢見ていた筈だ。今回のことで、きっと、俺を憎んでるに違いない。
でも…ごめんなさい。
俺も、アルファムが好き。アルファムを愛してる。やっと巡ってきた幸せを、手放すことは出来ない。
ライラを思って胸が痛むけど、その痛みを抱えたまま、俺はアルファムの隣にいると決めたんだ。
「うん…。それで?」
「アルファム様が厩舎に行くと、ヴァイスの姿が無かった。アルファム様は、空の厩舎を見て、大きな声で笑い出したんだ。『ヴァイスめ、あいつまでカナが大好きなんだな』って」
「…ヴァイス、怒られてなかった?俺の願いをきいて、遠くまで乗せてくれたんだ…」
「大丈夫だよ、カナデ。別の馬に乗って行こうとした時に、ヴァイスが戻って来たんだ。アルファム様の傍に寄って来たヴァイスを、アルファム様は『よくやった』と褒めてらしたよ」
「アル…」
俺は、ホッと安堵の息を吐いた。
俺を迎えに来た時に、アルファムとヴァイスの間に変な空気は感じられなかった。
それにアルファムが、とても大事にしてるヴァイスに、理由もなく酷いことをする筈がないと信じていた。
リオが立ち上がり、俺の正面に立って続ける。
「そこからは素早かったよ。人数が多いと動きが鈍くなるから、アルファム様と俺が、騎翔馬で空から遠くを捜索、他の数十名で、念の為城の近くをくまなく捜索せよと命令して、すぐに出発した」
「…でも、どうして俺の行き先がわかったの?」
「カナデ、アルファム様からもらった腕輪をつけてるだろ?」
「つけてるけど…。あっ!そうだった!この腕輪って…っ」
「そうそう。カナデがどこにいるかわかるようになってるよな」
以前、レオナルトに連れ去られそうになった時、目印にと腕輪の石を順番に落としていったんだ。その時にアルファムが、『この石にはカナがどこにいてもわかるように魔法が施してある』と言ってたんだ。
前の腕輪は石が足りなくなってしまったから、新たに腕輪をもらったけど…。
そうか。この腕輪にも、魔法が施してあったんだ。それで捜しに来てくれた…。
「リオ…、俺、勝手なことしてごめん。アルやリオが、俺を見捨てずに捜しに来てくれて良かった。本当にありがとう」
「はあ?アルファム様がカナデを見捨てる訳ないじゃん!俺が大好きな友達を見捨てる訳ないじゃん!…カナデが無事で本当に良かった。でも、怪我する前に助けられなかった…。ごめん…」
「リオはちゃんと助けてくれたよ?リオがいなかったら、風の国のあの男に殺されてたかもしれないんだよっ。俺、今回のことでもっと強くなりたい!って思ったんだ。だからリオ。もっと俺を鍛えて」
「…カナデ。よし!わかった!今から俺は厳しくいくからなっ」
「うん!」
お互い顔を見合わせると、ブブッと思いっきり吹き出した。
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