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俺は泣きそうになるのを堪えて、アルファムを見上げると何度も頷いた。
アルファムは、俺の大好きな太陽のような眩しい笑顔で、俺に笑いかける。
「アル…ありがとう。俺はアルの傍にいられたらそれでいいんだ。だから、俺を離さないで欲しい…」
「ああ、二度と離さない。おまえを狙う奴らがいるからな。俺がしっかりと守ってやる」
「狙うやつ?え…いるかなぁ…」
「いる。今度、そ奴らがこの城へ来る」
「えっ」
俺は大きく目を見開いて、アルファムを見た。
「俺の即位5周年の式典に、招待しなければならない。この世界の、エン国、スイ国、ウィン国、マウン国、ディエス国、ルナ国の王族が、この城に集まるぞ」
「へぇっ!すごい!あ、じゃあレオンも来るかなぁ」
「レオン?」
「ほら、この前の。水の国の王様のレオナルトだよ」
アルファムの太陽のような笑顔が一転、鬼のような形相になった。
「ア…アル?なんか、顔…怖いよ?」
「あいつ…、俺はあいつには会いたくないぞ。カナを二度も連れ去ろうとしたあげく、カナに親しげに名前を呼ばせやがって…!」
「だ、だって、助けてもらったし…。優しかったよ?」
「ぐっ…ぅ。わかっ…た…。カナがそう言うなら…仕方がないが…っ」
俺は腕を上げて、アルファムの顔を両手で挟み、ふふ…と笑う。
「アル、ありがとう。ホントはすっごく怒りたいのを我慢してくれてるんだね。また一方的に怒って俺を傷つけないように、って。でも、ちょっとくらいなら怒ってもいいよ。だって…、それって、俺を好きだからだろ?嫉妬してくれてるから」
「…そうだ。カナには、俺以外を見て欲しくない。話して欲しくない。触れて欲しくない。でも、それを押しつけることはしたくないからな。カナが話したいなら、少しくらいは…許す」
「…相変わらず偉そうだけど…、でも、ありがとう」
アルファムが、少しずつ変わってきてるような気がする。俺と出会った頃は、こっちの意見を聞く気なんてなくて、自分の思い通りにすることが当たり前だったのに。
そんな傲慢なアルファムを、俺は好きになったんだけど、今の思いやりのあるアルファムは、もっと好きだ。
俺がジーッとアルファムを見つめていると、端正な顔が近づいて、唇にキスをした。
「んっ…コホッ、私は出て行った方がよろしいですか…?」
「え?」
慌てて声がした方を振り返ると、シアンが困った顔で立ち上がろうとしていた。
「あ…ご、こめんっ。仕事続けていいよっ?」
「いや、シアン、今日はもう終えていいぞ」
「では、アルファム様のお言葉に甘えて失礼します。あ、その式典のことですが、他国の来賓の中に、アルファム様やカナデ様を傷つけたウィン国の王子も来られるかもしれません。くれぐれも、お気をつけて」
「…バルテル王子が…」
一礼をしてシアンが出て行った扉を、不安げに見つめる。
アルファムが、そんな俺の頭を撫でて、「大丈夫だ」と囁いた。
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