アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
6
-
適当に廊下を曲がって走り、ある扉を抜けると明るい開けた場所に出た。
とりあえず目の前にある丁度いい高さの、レンガ造りの台に腰掛ける。
目を閉じて何度か深呼吸を繰り返し、落ち着いてきた所で目を開けて周りを見た。
薔薇などの色とりどりの花や植物が咲いて、とても綺麗だ。
俺は、泉を囲う縁に座っていて、背後には澄んだ水が空を映して青く煌めいている。
「あれ?ここは…」
この城に来てすぐに、リオが案内してくれた中庭。そして、ライラに会った場所だ。
あの時は気持ちが落ち込んでよく見てなかったけど、たくさんの花や植物が綺麗に手入れされており、花から花へと蝶が飛んでいて、とても心が落ち着く場所だった。
俺は立ち上がると、ゆっくりと庭の中を歩き始めた。
この国に来たばかりの頃は少し暑かったけど、今はそよそよと吹く風がとても心地のいい気候になっている。
ーーいつも忙しくしてるアルとここに来て、ゆっくりお茶とかしたいなぁ。
庭の片隅に小さなテーブルと椅子を見つけた俺は、そこでお茶を飲むアルファムと俺を想像して一人ニヤけていた。
その時、不意に影が差して、不思議に思って振り向いた。
すぐ目の前で、がっしりとした大きな身体の緑色の髪の男が、俺を見下ろしている。
この世界ではあまり見かけない短髪に、丈の長い軍服のような格好をしている。
ーーあっ、この人!リオと覗いてた時に見た山の国の人!あれ?身分の高そうな人なのに、誰もついてないんだ…。
俺を探るように見てくる男の目に怯んで、動くことが出来ない。目を逸らすことも出来ずに、アルファムよりも大きな男を見ていると、男が腰に手を当てて片手で顎を触りながら「ふむ…」と呟いた。
「珍しい髪色をしているな。初めて見たぞ。おまえはこの国の者か?」
全く同じ質問をつい先程も聞いたな…と思いながら、俺は何度も頷く。
「そうです、エン国の者です。あの…、俺急いでるので失礼しますっ」
「あっ、待てっ。おまえの名前は……」
男の傍を素早くすり抜けて去ろうとすると、背後から呼び止められる。
だけどもう、面倒臭いことになるのは嫌だと聞こえないふりをして、早歩きから駆け足になって、城の中へと駆け込んだ。
部屋に戻ると、すっかり疲れてしまった俺は、まだ仕事を続けていたアルファムの元へ行き、背中にベタリと張り付いた。
アルファムの首に顔を寄せて大好きな匂いを吸い込み、やっと気持ちが落ち着いた。
「どうしたんだ?スイ国王は来てなかったのか?」
「…来たよ。レオンもナジャも元気そうで嬉しかった」
「そうか。ならどうしたんだ?」
「ん…。ちょっと離れただけなのに、アルに会いたくなったから…」
フッ…と笑う声が聞こえたと思うと、俺の身体が抱えられて、アルファムの膝に向かい合わせで乗せられる。
見つめ合ってキスをして、また見つめ合って舌を絡め合わせる。
すぐに気持ちよくなってしまった俺は、アルファムの胸にペタリと頬をつけて目を閉じた。
アルファムが、片手で俺を強く抱きしめて、反対の手で俺の髪を梳く。
それがとても気持ちよくて、俺はいつの間にか眠ってしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 427