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「カナ、起きろ。そろそろ大広間に行く準備をするぞ」
「…ん?…んあっ…。あれ?俺寝てた?」
肩を揺すられて目を開けると、アルファムが笑いながら俺を覗き込んでいた。
慌てて起き上がり、髪の毛を撫で付ける。
「俺っ、大丈夫かな?寝癖ついてない?」
「大丈夫だ。いつも通り可愛いぞ。ほら、上着を着せてやる」
「うん…ありがとう」
眠る前に上着を着たままだった筈なんだけど、アルファムが脱がせてくれたみたいで、皺にならずに済んだ。
上着を着て、一応鏡の前で身なりを整える。
大丈夫なことを確認すると、俺はアルファムを振り返り照れ笑いを浮かべた。
「ごめん、アル…。時間大丈夫だった?」
「大丈夫だ。それにカナの可愛い寝顔を見て癒されたぞ。では行こうか。カナは俺の隣にいるだけでいいからな。くれぐれも笑ったりするなよ?」
「え、なんで?アルの印象を良くする為にも、俺は愛想良くした方がよくない?」
「ダメだ。おまえの可愛い笑顔を見て、惚れる奴が出てきたらどうする。おまえは俺をずっと見てればいい」
「……はぁ」
冗談を言ってるのかとアルファムを見るけど目が笑っていない。
俺がこの城から逃げて、再び戻って来てお互いの気持ちを確認してから、アルファムの独占欲がとても強くなった。
それはすごく嬉しいのだけど、アルファムが心配するほど俺はモテない。
しかも女の人ではなく、なんで男の人からモテるという心配をするのかと困惑してしまう。
無言でアルファムを見上げていたら、額に柔らかいものが押し当てられる。
「カナ、その顔もダメだぞ。…シアンに言って仮面でもつけさせた方がいいか…」
「え?なんで?嫌だからなっ。それに大丈夫だから。俺、アルだけを見てるからっ」
アルファムは、暫く無言で俺を見ていたけど、いきなりあの太陽のような眩しい笑顔になると、機嫌よく俺の手を握った。
「そうだな、そうしていてくれよ」
「……」
機嫌の良くなったアルファムに曖昧に笑って頷いた時、扉の外から声がかけられた。
「アルファム様。皆様お集まりでございます。よろしいでしょうか?」
「ああ、すぐに行く」
返事を返したアルファムと部屋を出ると、シアンが頭を下げて待っていた。
大広間の正面の大きな扉ではなく、玉座に近い小ぶりの扉から中に入る。
俺は、緊張して周りを見る余裕がなく、アルファムの背中を見て進む。
アルファムが玉座の前に立った瞬間、ざわついていた大広間が静かになった。
俺は、アルファムの隣でそっと顔を上げる。
かなりの広さの大広間に、たぶん100人以上はいる人達が、一斉にこちらを見ていた。
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