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ミケが乗る馬を先頭に、月明かりに照らされた道を駆け抜ける。
ミケの馬と僕とサッシャが乗る馬の2頭が空を翔べるらしく、他の馬よりも少し身体が大きい。
だからなのかサッシャの部下達の馬が遅れ始めて、少しずつ距離が開いていく。
「サッシャ!もう少しゆっくり行った方が…っ。皆と離れてしまう…」
「ダメだよ。そんな事してたらシルヴィオ王に追いつかれてしまう。シルヴィオ王の狙いはカナデなんだ。だから彼らが追いつかれたとしても大丈夫だよ」
でも…と後ろを振り返ると、彼等は先に行けと言うように大きく頷いた。
「…ホントに?大丈夫かな…」
「大丈夫だって。彼等は日の国の中でも飛び抜けて優れた兵士なんだよ。上手くシルヴィオ王から逃げ切れるよ。ところでカナデ、この調子で行くとすぐに追いつかれそうだ。今から翔ぶよ。しっかり掴まってて。ミケ!」
先を行くミケにサッシャが声をかける。
ミケが、こちらを振り向いて頷き手綱を引くと、馬が助走をつけながら翼を出して、一気に空へと翔んだ。
サッシャも手綱を捌いて、馬を飛翔させる。
下を見ると、残されたサッシャの部下達がみるみる小さくなって、あっという間に見えなくなった。
「サッシャ…、翔べばすぐに炎の国に着く?」
「うん。陸を走るよりも半分の時間で着く。俺の愛馬のティモは、日の国で一番速い。だからシルヴィオ王に追いつかれる前に、炎の国に入れると思ってたんだけど…。ちょっと!シルヴィオ王の馬っ、めちゃくちゃ速いっ!」
「ええっ!?」
サッシャの大声に驚いて、首を伸ばして後ろを見た。
まだ肉眼で姿は確認出来ないけど、遠く向こうにものすごい速さで近づいてくる光が見えた。
「え?え!あれって、シルヴィオ王なのっ?」
「きっとそうだよっ。やばい!魔法で身体を動けなくされるとマズいから、俺達と馬の周りに防御の膜を張る。ミケも張るんだ!」
「はっ!ですが、それをしますと速度が落ちてしまいますっ」
「速度を落としてもダメだっ!もう少し頑張れば炎の国に近づく!そのままの速さを保てっ!」
「…分かりました!」
俺とサッシャの周りとミケの周りの空間が、ポワリと薄い光に包まれる。
どうやらこれが防御の膜みたいだ。
俺も手伝えることがあればいいのだけど、何も出来ることがない。
ただひたすら前を見つめて、シルヴィオ王に追いつかれないようにと祈ることしか出来ない。
その時、後ろから微かに声が聞こえて恐る恐る振り向いた。
「あっ!!」
もうはっきりと姿が確認出来る距離にまで、シルヴィオ王が迫って来ていた。
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