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身体が熱くて息が苦しい。
俺は今、何をしてるんだろう。
確かアルファムと一緒に城に戻って来た筈だ。アルファムの傍で幸せな時を過ごしていた筈だ。
それとも…。
今までのこと、全部夢だったのかな?
俺は、あの日崖から落ちて、今は地獄にいるんだろうか。
地獄の釜で焼かれてるから、こんなにも熱くて苦しいんだろうか。
生きていても苦しかったのに死んでも苦しいなんて、俺はどうすればいいんだろう…。
…あれ?でも微かに聞こえる「カナ!」と呼ぶ声。あれはアルファムの声だ。
やっぱり夢じゃなかった?じゃあなんで俺はこんなに苦しんでるんだ?
えーと…、アルファムの部屋に戻って来て、アルファムとキスをして。シアンが来てアルファムが出て行ったから、テーブルに置かれていたプリンに似たデザートを食べて…。え?あっ!あのデザート?あれを食べてからおかしくなった気がする…っ。もしかして、何か入ってた…?
「カナっ!大丈夫だ!必ず助けてやるから頑張れっ!」
「まだ身体が熱いっ。もう少し解熱薬を持ってきなさい!」
「はいっ」
頭がガンガンと鳴って気分が悪い。目を閉じてるのにグルグルと目が回る。手足の先も痺れていて、何よりも呼吸が苦しい。
意識はハッキリとして、すぐ傍にいるであろうアルファムやシアン、リオの声が聞こえる。
ただ身体が動かせないから、口も開くことが出来ない。
俺の額から流れる汗を拭う大きな手…。アルファムの手だ。熱い顔に冷やりとした手がとても気持ちよくて、俺は自分からその手に擦り寄った。
「カナ?気がついたか?大丈夫だからな。すぐに良くなる。だから頑張るんだぞ」
アルファムの言葉に、俺は何とか頷いてみせる。瞼を開けようと力を入れるけど、ピクピクと震えるだけで開けることが出来ない。
不意に瞼に柔らかい感触がして、「愛してるぞ」と愛しい声が響いた。
「薬持って来ました!」
「ありがとう」
走って来る足音とリオの大きな声がして、シアンがお礼を言う。
すぐに俺の口の中に粉薬が入れられ、口移しで水を飲まされた。
ーーあ…アルファムの唇…。
俺はもっと水が飲みたくて、微かに唇を動かしてもっと…と懇願する。
それに気づいてくれたのか、続けて数回、アルファムが口移しで飲ませてくれた。
俺は、ホッと息をついて身体を弛緩させる。
今の薬が効いてきたのか、水を飲んだからか、少し身体が楽になって、俺は再び眠りについた。
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