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アルファムと部屋に戻って来た。
でもアルファムは、俺をベッドに降ろすと「休んでろ」と言って、またすぐに出て行った。
俺は、泣いたからか何だか疲れてしまい、ベッドに横たわると、腕で顔を隠して目を閉じた。
ーーどうしよう…。あの人の手、ホントに切っちゃうの?切られてしまったら、仕事とかどうするの?何も出来なくなってしまう。あの人…よく働いてた。だからいつも手が荒れていて、たまに血も滲んだりしていた。痛そうだなって、ここにはハンドクリームみたいな物はないのかなぁ…って、気になってたんだ。…あの人、命令だからって、何でライラの言うことを聞いたんだろう?あ…もしかして、俺の世話係になる前は、ライラに仕えていたとか…?だから断れなかった…?
グルグルと考えても俺にはどうしようもなくて、余計に疲れてしまった。
俺はゆっくりと立ち上がると、窓を開けてバルコニーに出た。もうすっかり日が暮れて、辺り一面薄闇に包まれている。
日中の少し蒸し暑い気候が嘘のように、今は風が冷たくて肌寒く、俺は身体をブルリと震わせて腕をさすった。
大きく深呼吸をして、部屋の中へ戻ろうと身体の向きを変えた時、馬の鳴き声が聞こえてきた。
慌てて手すりから下を覗くと、シアンを先頭に5人の男達が馬に乗ってどこかへ向かっていた。
「どこに行くんだろ…。あっ、もしかしてライラの所…?」
6人の姿が建物の角を曲がり見えなくなるまで見送ってから、部屋の中へ戻る。
テーブルに行き、ソーサーから水をコップに移して飲んだ。
水は柑橘系の爽やかな味と匂いがして、不安で重く沈んでいた気持ちが、少しだけ軽くなった気がした。
ちなみにこの水も、アルファムが部屋に入るとすぐに毒味をしてくれている。
水を飲んだ後に、汗と涙でベタつく顔を洗おうと洗面所へ向かい、パシャパシャと顔を洗った。
顔を拭いて再び窓際で外を眺めていると、カチャリと音がして、部屋の中へ入って来るアルファムの姿が、窓に映し出された。
まっすぐに俺の傍に来て、背後から抱きしめる。
俺は、お腹に回された腕に手を添えて、「シアンはどこに行ったの?」と尋ねた。
「見てたのか。シアンには、ライラを拘束してもらいに行った。ライラは貴族の家の娘だ。おまえが心配しなくても、処刑はしない」
「ほんと?良かった…。あ、でも、何かしらの罰は与えるの?」
「当たり前だ。貴族といえども、罰は平等に与える」
「そっか…。うん、わかった」
「怒らないのか?」
アルファムが驚いた声を上げて、俺の顔を覗き込んだ。
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