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俺は、椅子に座るアルファムの傍へ行き、赤く美しい髪の毛を撫でて、そっと頭を抱き寄せた。
「うん…。その為にも、俺は強くなる。守ってもらうばかりじゃなく、自分の身は自分で守れるように…。てか、やっぱりアルファムも狙われたりするんだね。気をつけてるとは思うけど、アルも充分気をつけてね?俺も、アルに何かあったらと思うと不安で仕方がないよ」
「ふっ、俺は強いから大丈夫だ。だが、ありがとう。カナが心配してくれると嬉しいものだな」
「強いからって油断してたらダメなんだよ?俺もアルを守るから!」
「そうか…。ふふ、期待してるぞ」
「あ、今バカにした!」
「するものか。可愛い奴だと思ったのだ」
「か…っ…。俺はかっこいい方がいい」
「なぜだ。おまえは誰よりも可愛いぞ」
そんなやり取りをしながら満たされた甘い時間を過ごし、アルファムは「まだやる事がある」と部屋を出て行った。
俺は暇を持て余して、お気に入りの中庭に行こうと部屋を出た。
綺麗な泉があり様々な花が咲いている美しい庭。ここは、この城の中で、俺の一番のお気に入りだ。
部屋から中庭まで大した距離でもないのだけど、まだ完全に体力が戻ってないのか少し息切れがして、泉の縁に座って息を整える。
目の前の、鮮やかな赤い花を眺めながら、思わずふふっ…と笑いを漏らした。
ーーそういえば、初めてライラに会ったのもここだし、月の国の王に襲われたのもここだった…。なんか縁起が悪くない?でもつい来たくなる場所なんだよなぁ。あ…、何か緑の髪の人にも絡まれたな…。え~と、確か…山の国の王だったっけ。あの人の俺を見る目、嫌な感じだったな。
俺を値踏みするように見てきた、あの黄色い瞳。あの瞳を思い出して、少しだけブルリと身体が震えた。
花を眺めたり、泉に映る青い空を眺めたりして寛いでいると、リオが中庭にやって来た。
「カナデ、部屋にいないから探したよ。ちょっと来てくれる?」
「あ、ごめん。何か用事?」
「うん。ほら、こっちに来て」
リオが俺の腕を引いて立たせると、そのまま歩き出した。
俺は、腕を引かれるままリオの後について行った。
中庭を抜け、城の裏側に回る。城の影になっている薄暗いその場所に、マントを羽織った女の人が、二人の兵に挟まれて、城の外へ向かって歩いていた。
「あ…」
「カナデが気にしてるんじゃないかなぁと思ってさ。どうする?話してくる?」
「…うん。ありがとう、リオ」
俺はリオに笑ってお礼を言うと、女の人の元へ駆け寄った。
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