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日の国ディエス
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俺の暗殺未遂事件もすっかり落ち着いたある日、日の国から俺宛に手紙が送られてきた。
手紙はサッシャからで、『俺が父王にカナデのことを話して聞かせたら、ぜひ会ってみたいから招待しろ、と言われた。俺もまたカナデに会いたいから遊びに来て』という内容が書かれていた。
俺もサッシャに会いたいし、日の国へも行ってみたい。
でも、手紙が俺に届けられてから、まだあまり文字を理解してない俺に代わって読んでくれたアルファムが、ずっと険しい顔をしたままだ。
どうしたものか…と黙り込んでいると、大きな手が俺の頭の上に置かれた。
顔を上げると、アルファムが優しい目をして俺を見ている。
「カナ、行きたいのだろ?いいぞ、行ってこい。その代わり、リオや数名の護衛をつける。おまえも以前よりは使える魔法が増えたしな。大丈夫だろう」
「ほんとっ?ありがとう!ちょっとだけ行ってすぐに帰って来るよ!」
「そうしてくれ。エン国の端まで俺が見送る。ディエス国の王子には、日の国の端まで迎えに来るように頼んでおく」
アルファムの顔が、少しピクピクと引きつっている気もしたけど、笑いながら許してくれた。
俺は「アル、大好きだよ」と言って抱き着いた。
そして何度か手紙のやり取りをして、最初の手紙が届いてから十日後に、いよいよ日の国へと行くことになった。
この世界に来てすぐの頃は、冬の終わりかけのような気候で、時おり肌寒く感じる日があった。だけどだんだんと暖かく過ごしやすい日が続き、最近は少し動くだけで汗ばむくらいに暑い。
日の国に行くにあたって、本当は、もう俺のトレンドマークになってしまった赤い上着を着た正装で行かなければならないらしい。
でも、そんな格好でこの暑い陽射しの中に晒されたら、かなりの確率で熱中症になってしまう。
という説明をアルファムに話したところ、レースのついたシャツに濃いグレーのズボン、ブーツに通気性の優れた布で作ったというマントを羽織って行くことを許してくれた。
ブーツも見た目は変わらないけど、冬に履いてた物よりは、通気性がよく蒸れない物らしい。
そして、「絶対に外すなよ」とアルファムに念を押されながら、腕に赤い石で出来た腕輪をつけてもらった。しかも今回は腕輪だけじゃなく、大きな赤い石が一つついたネックレスまで首につけられた。
「カナ、どんな時でもつけているんだ。風呂に入る時も外してはダメだぞ」
アルファムにしつこいくらいに念押しされて、俺はネックレスの先の石を指で弄りながら、「うん、わかった」と頷いた。
石がとても綺麗だったから、窓から入る光にかざして見る。
赤い石の中に緑色が見えて、あまりの美しさに思わず感嘆の声を上げた。
「わあっ!綺麗…。アルの瞳の色だ…っ」
「そうだ。美しいだろう?身分の高い者は、自分の石を持っている。それは俺の石、アルファムと言う。おまえに預けるから、大事にしてくれるか?」
「え?じゃあこれって、アルの宝物じゃないの?俺に渡していいの?」
「いい。俺の宝物はおまえだ。それにその石は、俺が持つよりもカナの方がよく似合う。どうだ?もらってくれるか?」
「もっ、もちろん!大事にするよっ。アル、ありがとう」
お礼を言う俺に微笑んで、アルファムが俺の頬を撫でる。ゆっくりと顔が近づいて、重なった唇から甘い痺れが広がった。
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