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「どう?気に入ってくれた?」
サッシャが、俺にニコリと微笑む。
「うん、綺麗な部屋だね。こういう雰囲気、好きだよ」
「良かった。じゃあもう遅いから寝ようか。明日…もう今日か。色々と案内してあげるよ。おやすみ、カナデ」
「ふふ、楽しみにしてる。おやすみ」
挨拶をしてサッシャが出ていく。
リオや護衛の人達を案内していたミケが、扉の外で待っていて、俺に一礼すると、サッシャと共に去って行った。
俺は、部屋に隣接する浴室で軽く身体を洗って、髪の毛を拭くのもそこそこにベッドに寝転んだ。
長旅で疲れていたこともあって、すぐに眠りについた。
翌朝、部屋でリオと朝食を済ませた頃に、サッシャが迎えに来た。
部屋に入って来たサッシャの格好を見て、俺は目を見開く。
身分の高い者がよく着ているレースのついたシャツではなく、月の国で使用人のフリをしていた時のような、シンプルなシャツにベスト、カーキ色のズボンを履いていたからだ。
「サッシャ、その格好…どうしたの?」
傍に来たサッシャを、下からまじまじと見上げる。
サッシャは髪の毛をかき上げると、得意そうにニヤリと笑った。
「どう?どこから見ても庶民に見えるだろ?今日は街の中を案内しようと思ってさ、王子の格好で行くと、目立って見たい物もゆっくりと見れないんだ」
「ああ…そうなるよね。俺も上着は置いていくよ。さすがにあの色は目立ち過ぎる。それに暑いからなぁ」
「これからどんどん暑くなってくるからね。あ、そういえばどうだった?昨夜は暑くなかった?ちょうどいい温度になるように魔法で調整してたんだけど」
俺は、やっぱり…と心の中で頷いた。
この世界に来た頃は、まだ肌寒い時期だったけど、建物の中は寒くもなくとても快適だった。
敢えてアルファムやリオに聞かなかったけど、暗くなると勝手に点る灯や近づくと湧き出る水のように、やはり魔法で快適な温度を保っていたんだ。
俺は「大丈夫だよ」と言って、サッシャに笑い返す。
「快適だったし疲れていたから、ぐっすり寝れたよ!」
「ちゃんと眠れたなら良かった。アルファム王がいなくて寂しいかなぁ、泣いてないかなぁ、と心配してたからさ」
「え?いやいやいや!俺は大人だしっ。寂しくて泣いたりなんかしないし!」
「え、そう?じゃあ寂しくないんだ」
「え?いや…、さ…びしくないわけは、ないんだけど…」
「あははっ。カナデって素直で可愛いね。俺、やっぱりカナデのこと好きだよ。じゃあそろそろ行こっか」
「え?かわ…え?」
照れて俯く俺の肩に手を置いて、サッシャがもう一度「ほら、行くよ」と言う。
「あ、そうだ。リオは、俺とカナデから少し離れてついてきて欲しい。うちからも護衛をつけるけど、エン国の護衛もつける?」
「あ、うん。いいかな?アルにしつこく『一人や少人数で動くな』って注意されてるんだ」
「そうだろうね。ここは治安はいいけど、用心するに越したことはないからね。じゃあ皆んなで行こう」
そういうことで、俺とサッシャが歩く後ろから、リオとミケ、そして数十名の護衛がゾロゾロとついて来る羽目になった。
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