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城を離れて街を抜け、緑が綺麗な森の上を通過する。
しばらく進むと、開けた場所に出て、木々も何も無い草原が広がる平らな場所に舞い降りた。
俺は真剣な顔で手綱を握り、一番最後に着地する。無事に地面に降りることが出来て、フゥーっと大きく安堵の息を吐いた。
「カナデ、上手く乗れてたよ。お疲れ様」
「ありがとう」
先に馬を降りていたリオが、俺の傍に来て手を差し出す。
俺は、遠慮なくその手を掴むと、勢いよく飛び降りた。
「んー…、緊張した…。わあっ!綺麗な所だなぁ」
大きく伸びをして周りを見渡すと、少し向こう側に湖が見える。水面が太陽の光にキラキラと反射して、とても綺麗だ。
「サッシャ!あっちに行ってもいい?」
「いいよ。走って勢い余ってはまるなよ?」
「俺、そんなにドン臭くないよっ」
俺はサッシャに笑い返すと、「お疲れ様。ここで休んでて」と馬の横腹を撫でた。
湖の近くまで走って行き岸から覗くと、水が透き通っていて、小さな魚が泳いでる姿が見える。そっと手を水につけると、気候は汗ばむくらいに暑いのに、水の中はとても冷たかった。
「綺麗だろ?ここ。俺、嫌なことがあったり疲れたりしたら、城を抜け出してよくここへ来てたんだ。俺を心配したミケもついて来てさ、二人でここに座って、ぼんやりと湖を眺めてた…」
昔を思い出してるのか、サッシャが目を細めて話す。
「二人の思い出の場所なんだね。そんな所へ連れて来てくれて、ありがとう」
「カナデは、俺の初めての他国の友達だから…大切な友達だから、一緒に来たかったんだ」
はにかみながら話すサッシャが、とても可愛い。
俺は、大切な友達と言われたことが嬉しくて、笑顔でサッシャの手を両手でギュッと握りしめて、もう一度「ありがとう」と言った。
サッシャと並んで湖の周りを散策する。
リオとミケの二人は、少し離れた後ろからついて来た。
時おり水面が揺れると、魚が跳ねたのかと足を止めて覗き込む。
湖上から吹く風は爽やかで、この場所へ着いた時に少し汗をかいてベタついていた肌が、今はサラリとしていた。
ーーここにアルもいたら最高だったのになぁ。炎の国にもこんな場所があったら、アルと行ってみたいな…。
美味しい空気を吸い込みながら、ふとそんなことを思った。
湖の周りでゆったりとした時間を過ごし、お腹が減ってきた頃に、サッシャが「昼食を食べに行こう」と言い出した。
ここから近くの街に、昔からサッシャとミケがよく行ってる店があるらしい。
「とても美味しいよ」と言うサッシャの言葉を聞いて、俺のお腹が盛大にグゥーと鳴った。
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