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アルファムの手を見つめて、俺も握り返す。
もう一度男に視線を戻すと、フードの下から赤い目を光らせて、真っ直ぐに俺を見ていた。
「何者だ。何しに来た」
アルファムが低い声で尋ねる。とても静かな声だけど、思わずビクッと肩を揺らしてしまう程に怖い。
男は口端を上げたまま、ゆっくりとアルファムに視線を移す。コテリと首を傾けると、口端を下げて無表情になった。
「おまえ、誰だ?」
「無礼な物言いをするやつだ。俺は、炎の国の王だ」
「ふ~ん…、おまえに用はないから、退いてろよ」
「おまえの言うことなど聞かぬ」
「…おまえ、邪魔だな」
男はそう言うと、マントの中の手を動かした。
すかさずサッシャとミケが、腰にくくりつけていた剣を抜いて男の傍へと駆け寄り、叫ぶ。
「動くな!何をするつもりだ?」
チラリとサッシャとミケを見て、男が反対側に首を傾ける。
「おまえ達は、誰だ?」
「俺は、日の国の王子だ。何をやろうとしてるのか知らないが、おまえの好きにはさせない」
サッシャが、剣を前に構えて男を鋭く睨む。
男は、しばらく無言でサッシャを見た後に、ゆっくりと天を仰いで両手を真横に持ち上げた。
右手をアルファムに、左手をサッシャに向けて伸ばし、掌をかざす。
咄嗟にアルファムが炎の壁を作り、ミケがサッシャの前に飛び出て光の壁を作った。
その直後、男の両手から黒い雷のようなものが伸びて、俺達に襲いかかった。
黒い雷は、炎の壁と光の壁に弾かれて、空へと上がって霧散する。ホッとしたのも束の間、すぐさま二発目の黒い雷が飛んできた。
今度はリオが瞬時に炎の壁を作り、黒い雷を弾き飛ばす。
サッシャは大丈夫だろうかと見ると、ミケが作ったものよりも更に光り輝く壁をサッシャが作り、黒い雷を弾き飛ばしていた。
この世界に来て、俺は今までにもいろんな魔法を見てきた。怖い目にもたくさん合ってきた。
でも、今のこの状況が、一番怖い。
その証拠に、俺の身体はカタカタと震え、心臓がバクバクとうるさく鳴っている。
ーーあの男、かなり強い気がする。話が通じない所も怖い。それに…黒い雷って…。どこの国の魔法なんだろう…。
今まで俺を襲ってきた奴らは、俺を連れ去ることが目的だった。まあ、バルテル王子やシルヴィオ王は、俺が言うことを聞かなかったら殺しそうな勢いだったけど。でも、言うことを聞けば殺しはしない、と話は通じる相手だった。
でも目の前のこの男は、話が通じない。そしてたぶん、俺を連れ去るのではなく、殺すことが目的みたいだ。
さっきの容赦のない攻撃が、そう物語っている。
俺は、何とか身体の震えを止めようと、奥歯を強く噛みしめて拳を握りしめた。
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