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俺が再びこの世界に戻って来てから、約一ヶ月が過ぎた。
炎の国の中央の城に戻った俺とアルファムは、穏やかな日々を送っていた。
ーーいや…、気持ちは穏やかだったけど、だんだんと慌ただしくなってきてたよな。
だって、城の中は準備の為に、皆がバタバタと忙しく動き回っていたし。
四五日前からは、各国の王族が、この城に集まり始めたし。
俺は、部屋から繋がるバルコニーで、手すりに肘をついて頬杖をつき、雲ひとつ無い青空を見上げて、ふぅ…と息を吐いた。
慌ただしく動き回る皆の姿を見て、俺は感謝の気持ちでいっぱいだった。
だって、皆が慌ただしく動いていたのは、俺と……。
「カナデ、何してるの?そろそろ身体を清めに行くよ」
「あ…うん。わかった、リオ」
部屋の中から声をかけられて、ゆっくりと振り向いて返事をする。
笑顔で俺に頷いて歩き出したリオの後を、少し緊張しながらついて行った。
部屋を出て廊下を進み、階段を降りて何度か角を曲がり、突き当たった扉を開けて外に出る。
方向音痴の俺は、未だ城の中を全部把握してなくてわかってなかったけど、そこは、俺の大好きな中庭だった。
「へぇ、この扉からここに来れるんだ」
「カナデ…、そろそろ城の全容を覚えようか?だってカナデは…」
「カナ、来たのか」
リオの言葉に被せて、俺の大好きな人の声がする。
俺は一瞬で笑顔になって、アルファムに駆け寄った。
「アル!もう終わったの?」
「ああ、先に準備をして待ってる。慌てなくてもいいからな」
「うん。後でね」
俺の頭を撫でると、アルファムは、シアンを連れて、俺がさっき出て来た扉から城の中に入って行った。
何だか今日は照れてしまって、アルファムの顔を直視出来ない。
俺が、熱くなった頬に手を当てて緩んだ頬を引き締めようとしていると、リオがニヤニヤしながら俺を見た。
「なっ、なに…っ?」
「いやいや、今日のカナデは可愛いなと思ってさ。幸せそうで何よりだよ。さ、じゃあ始めようか?」
「あ…はい」
リオに背中を押されて、中庭の中央にある泉に近づく。
サンダルのような履物を脱いで、美しい空の青を映す泉の水に、そっと足を入れる。
一瞬、水の冷たさに息を詰めるけど、すぐに慣れてきて、俺はもう片方の足も入れた。
「そのままゆっくりと座って。あ、邪魔ならその服脱いじゃってもいいよ?」
「…大丈夫。着てる」
リオに言われて、ゆっくりと腰を落としていく。
因みに、この泉の水で身体を清めるために、俺は白いシンプルなワンピースみたいな服を、一枚だけ身にまとっていた。
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