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これから長い付き合いになるのだし、ここはしっかりと勘違いを正しておかなければ…と、ローラントの目を見て口を開く。
「あのね…ローラント…」
「あ!まだこんな所で悠長にしてる!ローラント様っ、早く席に着いてください。皆様、もうお集まりですよ!アルファム様もカナデも、いつ呼ばれてもいいように準備してて下さいよっ!」
俺の言葉を遮るように勢いよく扉が開いて、リオが顔を覗かせる。早口で一気にまくし立てると、ローラントを引っ張るようにして部屋から出て行った。
「相変わらずうるさいヤツだ。まだ時間に余裕があるだろう」
「ふふ…、リオも今日の日が嬉しくて気持ちが高揚してるのですよ。ではアルファム様、カナデ様、そろそろ参りますよ。準備はよろしいですか?」
リオの出て行った扉を見て、渋い顔をしていたアルファムが、シアンの言葉に瞬時に笑顔になって、俺の頬を撫でた。
「俺の準備は出来ている。カナ、おまえの心の準備はいいか?」
「心の…?」
「そうだ。俺の伴侶になる覚悟だ」
俺は、俺の頬を撫でるアルファムの手の上に手を添えて、ニコリと笑う。
「そんなの、ずっと前から出来てるよ。ずっとずっと、アルの傍にいたいと願ってたから、その願いが叶って…すごく嬉しい…」
言葉が震えて、俺の頬に涙が零れ落ちる。
アルファムが、俺の頬に唇を寄せて涙を吸うと、震える唇にキスをした。
「泣くのはまだ早いぞ。全て終わってから俺の胸で泣け」
「ふ…ふふ、アルってやっぱり暴君だ…」
「そんなことないだろう。俺は、おまえには適わないぞ?」
チュッチュと唇を触れ合わせて話していると、横から大きな咳払いが聞こえた。
「ンッ!ゴホンッ!式が終わってからゆっくりとして頂けませんか?これからは、ずっと一緒なのですから」
「あっ、ご、ごめんね?シアン…」
「…無粋な奴だ。カナが可愛いのだから仕方がないだろう」
「はあ…っ」と大きな溜息をつくと、シアンが苦笑しながら扉を開ける。
「そうですね。お二人を見てると、こちらまで幸せな気持ちになります。きっと、炎の国も幸せに導いてくれるでしょう。では、そろそろよろしくお願いします」
「ああ、カナ」
アルファムが、俺の顔の前に左手を差し出す。
その掌にそっと手を置くと、しっかりと握られた。
頭を下げるシアンの前を通り過ぎて、廊下へと出る。
すぐ近くにある大広間の重厚な扉の前に立つと、繋いだ手に力を込めた。
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