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一瞬しん…と静まり返った後に、大きな拍手と祝福の声が上がった。
「おめでとうございます!アルファム王、カナデ様!」
「おめでとうございます!お幸せに!」
感動して嬉しくて、俺の身体が小さく震える。
アルファムが繋いだ手を引いて、俺の震える肩を抱き寄せた。
「これでもう、おまえは俺の物だと皆に知れる所となった。だが、またおまえを手に入れようとする愚かな者が出てくるかもしれない。だからカナ、俺の傍から決して離れるなよ?」
「うん…。ねぇアル、アルも俺の物だって皆に知れ渡った?でも、アルはかっこいい王様だから、俺がいると知っても寄ってくる人がいるかもしれない…」
「寄ってきた所で、俺は相手にしない。おまえにしか興味がないのだからな。カナは何も心配するな。俺の隣で、心穏やかに過ごしていればいい」
「うん、ずっとアルの傍にいる」
アルファムに抱き着いて、逞しい胸に頬を擦り寄せる。
アルファムは、俺のつむじにキスをすると、背中を押して、俺を椅子に座らせた。
手を繋いだまま、アルファムも玉座に座る。
背後の大きな窓から射し込む陽の光で、アルファムの周りがキラキラと光ってとても美しい。
俺がうっとりとアルファムを見つめていると、アルファムが不思議そうに「どうした?」と聞いてきた。
俺は、照れ笑いを浮かべながらアルファムに言う。
「窓からの光に包まれて、アルがとても綺麗だなぁ…って感動してた」
「それを言うならおまえの方だ。その黒髪も白い肌も大きな琥珀色の瞳も、光り輝いて本当に美しい。おまえのそんな姿は、誰にも見せたくないのだがな…」
アルファムが、面白くなさそうに呟く。
ーーこんな綺麗なアルファムと並んでいたら、俺なんてすごくちっぽけに見えるのに…。だから、何も心配なんてする必要全くないのに…。
そう思って唇が尖りそうになるけど、本当はアルファムの俺の物発言が嬉しくて、繋いだ手に力を込めた。
「アルファム王、カナデ、本当におめでとうございます!カナデ、落ち着いたらまた日の国に遊びに来てよ!」
「サッシャ!ありがとう。帰ったばかりだったのに、また炎の国に来てくれてっ」
「俺は旅が好きだから全然平気だよ。でも、こんなにすぐに婚儀があるんだったら、帰らないでカナデの傍にいさせてもらえばよかった…」
「だ、だよね…、ごめんね?」
俺の前に来て、お祝いをしてくれるサッシャ。この世界での、数少ない俺の友達。
遠い距離を行ったり来たりするのは苦じゃないけど俺の傍にいたかった、と拗ねる様子に、俺の心が暖かくなった。
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