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「カナ、疲れたか?」
アルファムが、俺の頭を撫でて顔を覗き込む。
俺は、その手を掴んで首を振る。
「ううん、大丈夫。アルの方が疲れたんじゃない?参列してた人ほぼ全員と挨拶してたし…」
「いつもやってることだ。あれくらいでは疲れない。宴の前に少し休んでもいいぞ?」
「大丈夫だって。アルと俺の為の宴なのに、主役が遅れたらダメじゃん」
「おまえは真面目よな。手を抜いてもいいんだぞ」
アルファムが目を細めて、俺の頬にキスをする。
俺のことを真面目だと言うアルファムこそ、すごく真面目で他人にも自分にも厳しいと思う。俺にだけは、とても甘いけど…。
でも、出会った頃は俺にも厳しかったよな…。厳しいと言うよりも、俺の意見なんて聞かなくて、すっごく傲慢だったよな…。
そんなことをぼんやりと考えているうちに、アルファムに手を引かれて大広間から宴の部屋に向かっていると思っていたら、俺のお気に入りの中庭まで来ていた。
庭の中央にある泉の前で立ち止まり、石造りの縁に二人で腰を下ろす。
アルファムが、泉に手を伸ばして指を濡らすと、俺の首をその指で撫でた。
「…んっ、どうしたの?」
「おまえ、ここを引っ掻いただろう。赤くなっている」
「あ、そういえば、痒くて掻いたかも…」
「そういう時は、俺か周りの誰かに言え。塗り薬を持って来てやる」
「え~、痒いんだからすぐ掻きたいじゃん。それに、大したことないからすぐ直るし…」
「ダメだ。おまえの綺麗な肌を傷つけることは許さん」
「…じゃあアルもだよ。アルだって綺麗な肌してるじゃん」
「は?俺がか?」
「うん。この国の人にしたら色白な方だし、肌もすべすべだよ?だ、抱き合った時、すごく気持ちいい…し…」
「…ふっ、そうか。俺もそうだ。おまえと素肌を合わせるだけで、身体が震える」
照れて俯く俺の顔を、アルファムが身体を屈めて覗き込んでくる。
俺は、アルファムに見られないように顔を背けるけど、アルファムに両頬を挟まれて目を合わせさせられた。
「カナ、おまえはすぐに頬を染めて可愛いな。俺の前で全てを見せておきながら、今更なぜ照れる」
「そっ、そんなのっ、仕方ないじゃん…」
「なにがだ?」
「アルが好きだから、照れちゃうんだよっ」
はあーっ、と大きな溜息をついて、アルファムが俺の肩に頭を乗せる。
俺は、どうしたんだろうと、アルファムの髪の毛をそっと撫でた。
「あ、呆れた?」
「…違う。逆だ。またおまえを好きになった。毎日…いや、時間ごとにおまえを好きになっていく」
「アル…。お、俺もだよっ」
「…宴に出たくないな。今すぐおまえと二人きりになりたい…」
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