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番外編
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青天の霹靂とは正にこのこと。
足元の地面が崩れ落ちて、俺は一気に奈落の底へと突き落とされた。
炎の国エンの王様であるアルファムと結婚してから、半年が経った。この半年は、とても穏やかで幸せな日々を過ごした。
水の国スイの王様レオナルトに招待されて、水の国にも遊びに行った。アルファムは一緒に行けないからと、シアンとリオが着いて来てくれて、とても楽しかった。
でもその時の話は、また別の機会にゆっくりしようと思う。
なぜなら今、俺は、とても混乱している。頭では理解しているのだけど認めたくなくて、全ての身体の機能が停止してしまったかのように固まって動けない。
「あの…」
目の前にいるピンク色の髪の美しい女の人の声に、何とか顔だけを動かして一言発した。
「……え?」
「突然押しかけてしまって怒ってらっしゃいますか?どうか気を悪くなさらないで…。私はただひと目だけでもアルファム様に会わせたかったのです。この子を、父親に…」
「ちち…おや…」
俺は口の中で呟くと、全身の力が抜けてその場に座り込んだ。
「カナデ!」
直後に背後から声がして、リオが俺の傍に走って来た。
俺を庇うように女の前に立ち、鋭く言い放つ。
「無礼者!この黒髪の方をどなたか知らない筈はないだろう!高貴な方に、取次もなくいきなり声をかけるとは何事か!しかもおまえ、何を言った?カナデを侮辱することは許さんぞ!」
リオの剣幕に、俺はゆっくりと顔を上げる。
俺が勝手にショックを受けただけで、この人に悪気はないのだとリオの名前を呼ぶ。
「リオ…落ち着いて。俺は大丈夫だから。この人は悪い事はしてないよ。だから手荒なことはしないであげて」
「カナデ!またそんな甘いことを言う!カナデは優し過ぎるっ」
「だって本当の事だし…。リオ、俺はちょっと動けないから、この人達を客間に案内してあげて」
「は?なぜ客間に?カナデに無礼を働いた罪人だろ?」
「違うよ。この人達は……」
俺は言葉を続けようとしたけど、声が震えて出せない。
「カナデ?」
「私から申し上げます。私は、アイリスと申します。四年ほど前にご縁があって、アルファム様に可愛がって頂いた者です。そしてこちらが、その時に出来たアルファム様の子供、レニでございます」
「はっ?はあっ!!?」
リオが目を見開いて、とても大きな声を上げた。
ここは、城をぐるりと囲む城壁に無数あるうちの一つの門だ。
今から数分前のこと、俺がこっそり街に遊びに出掛けようと門を開けると、目の前にこの二人、アイリスとレニが立っていた。
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