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「カナデ…大丈夫?」
「うん…大丈夫じゃない…」
アルファムと俺の部屋にある大きなソファーに身体を沈めて情けない声を出す。
とりあえず、アルファムの子供かもしれないレニとその母親を、城内の端にある小さな部屋に案内させた。
そして脱力して立ち上がれない俺を、リオが抱き抱えて部屋に連れて来てくれて、今に至る。
「きっと何かの間違いだよ!アルファム様は、立場上、うっかり子供が出来ないように気をつけてたし。それにあの子がアルファム様の子供だというなら、アイリスという女は、なぜ生まれて直ぐに知らせなかったんだ?おかしいじゃないかっ。カナデという妃がいる今になって出てくるのも怪しいし。とにかく、アルファム様が戻って来られるまで放っておこう?」
あまりの衝撃に脱力して動けない俺に、毛布をかけたり爽やかな柑橘類が香る水を飲ませたりしながら、リオが慰めてくれる。
そりゃあ、あんなにかっこいいアルファムが、俺と出会うまで童貞だったなんてことは有り得ない。初めて身体に触れられた時も、慣れていたし。
アルファムの俺と出会う前のことを、責めたりはしない。
俺だって、恋人がいて身体を繋げてたんだ。そのことで、アルファムにずいぶんとひどい仕打ちを受けたけどね!
「アル…早く帰って来ないかなぁ。アルの口から違うとはっきり言って欲しい…」
「あ、そのことだけど。ホルガー様が使者を出したからね。馬で翔んで行ったから明日にはアルファム様の所へ着くと思うよ。知らせを聞いてすぐに戻って来られるとして…明後日になるかな?」
「明後日…?明後日まで耐えられるかな…」
俺は、大きく震える息を吐いて、ペンダントの先の赤い石を握りしめた。
アルファムは、五日前からシアンと数十人の家来を連れて、月の国ルナとの国境近くに出向いている。
ルナのシルヴィオ王が、未だ俺を諦めていないのか、或いは恨んでいるのか、数ヶ月起きに何かしら嫌がらせをしてくるのだ。
今回は、水の国からの物資を炎の国に入らないように止められたと連絡が来て、アルファムは「許さん」と鼻息荒くヴァイスに乗って城を出て行った。
ーーアルに早く戻って来て欲しいけど、もしも「そうだ」と認められたらどうしよう。…どうしようも何も、本当の親子の邪魔をすることは出来ないんだけど…。もしレニがアルの子供なら、アイリスが王妃になるのが正しいよね。じゃあ俺は、側室になるの?…別に王妃とか側室に拘ったりはしないけど、俺以外の人とアルが結婚するのは嫌だなぁ。でも、王様のアルが決めたことを、俺の我儘で反対するのは……だめだよね…。
「カナデ?ベッドに行く?顔色が真っ白だよ」
「…リオ、俺、甘い物食べたい。好きな物食べて、落ち着きたい」
「わかった。持って来るから、辛かったらベッドで寝てるんだよ?」
「うん、ありがとう」
リオが、心配そうに何度も振り返りながら部屋を出て行く。
俺は、リオが出るとすぐに扉に張り付き、リオの足音が聞こえなくなったのを確認して、棚からアルファムのマントを引っ張り出した。
「リオ…ごめんね」
そう呟いて、自分の部屋から少しばかりのお金と短剣を持つと、マントを脇に抱えて部屋を出た。
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