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「なぜ泣いてるんだ?」と少し鼻声のアルファムに問われる。
「わかんない…何か感動して…っ」
「気の早い奴め。まだ子を宿してもいないのだぞ。今からその調子では、子を産む時には涙が枯れてしまうのではないか?」
ははっと笑って、アルファムが俺の目尻にキスをする。
そんなことを言うくせに、間近で見たアルファムの目の周りが、少し赤く染まっている。
それを見て、また俺は顔をくしゃりと歪ませて涙を流した。
「本当に泣き虫だな。シアン、明日、ホルガーとリオも交えて今後のことを決める。忙しくなるぞ」
「はい。きっと、何事も良い様に進みましょう。俺は、二人の為なら何でもします。全力で支えます」
「ああ、期待している。カナが泣き疲れて眠そうだ。このまま部屋に戻る」
「はい、おやすみなさいませ」
アルファムの腕の中で、俺はゆらりと頭を揺らす。
アルファムに抱き抱えられて部屋を出る際に、微笑んで見送るシアンと目が合って、欠伸混じりに「シアン、おやすみ…」と呟いて目を閉じた。
翌日、朝食を終えると、アルファムの部屋にホルガーとシアン、リオが集まった。
俺とアルファムがソファーに座り、対面に三人が並ぶ。
アルファムが一番年配のホルガーに腰掛けるように言ったので、ホルガーは木の椅子に腰を降ろした。
「おはようございます、アルファム様カナデ様。シアンから重要なお話があると聞きましたが?」
「そうだ。とても重要だ。そして無事に成し遂げるまでは、他言無用で行いたい。よいか?」
「はい…。緊張いたしますな。なんでございましょう?」
アルファムが、ホルガー、シアン、リオと順番に見ていき、最後に俺を見る。
俺は、頷いてアルファムの手を握る。
その手を握り返して、アルファムが口を開いた。
「俺とカナは、子を作ることを決めた。既に子胞薬(しほうやく)の買い付けを頼んである。もし順調にカナが子を宿したとして、無事に産まれるまでは、絶対に周りに知られたくない」
「おおっ、なんと!カナデ様、よくぞ決意して下さいました。感謝申し上げます。ですがアルファム様、カナデ様にお子が出来たとなれば、民も喜ぶと思うのですが…?」
「…ほとんどの者が喜ぶだろう。だが、未だに俺とカナのことを、よく思ってない輩がいるかもしれん。カナの出産を、阻止しようとする輩が出て来るかもしれん。俺は、もしもカナが妊娠したら、カナを穏やかに過ごさせてやりたい。だから、このことに関わる者は、必要最低限の人数とする。よいか?ホルガー、シアン、リオ」
「承知致しました」
三人が深く頷いて、頭を下げた。
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