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炎の国は、南国のような気候で雪が降ったりはしない。
妊娠五ヶ月目に入った今は、汗ばむ暑い時期が過ぎて、とても過ごしやすい春のような気候になった。
この頃には吐き気も収まって、少しは落ちたけど食欲も元に戻ってきた。
医師が言うには、安定期に入ったので、多少は動いた方がいいらしい。
ということで、身体がずいぶんとなまってしまった俺は、アルファムに剣の稽古をしたいと言って怒られた。
「馬鹿者!おまえの身に何かあったらどうする!絶対に許さんからなっ」
「だって…っ、俺すごく元気だよ?ここ数ヶ月ずっと寝てたから身体を動かして体力を戻したい。体力つけないと産む時大変そうだしさ…」
「だとしても、剣を振るなど以ての外だ。散歩なら許そう」
「散歩はするけど…。じゃあヴァイスに乗っちゃだめ?」
「駄目だ。振動が身体に悪い。…カナ、おまえが思ったよりも辛くなさそうなのは嬉しいが、大人しくしていてくれ」
「はい…」
シュンと俯いた俺の頭を撫でて、アルファムが困った顔をする。
妊娠中は、女の人よりもしんどくて辛いと聞いていたけど、どうやら俺は、軽く済んでるみたいだ。
五ヶ月目に入ると、軽い吐き気や目眩はあるものの、とても元気になったんだ。
ーーでもアルの言う通りだよな。元気だからと動いてお腹の子に何かあったら嫌だし…。大人しく城の中を散歩するだけにしとこう。
「アル…俺、自分のことしか考えてなかった。お腹の子の為に、大人しく本でも読んでる。でもその前に少し散歩したい。行ってきてもいい?」
「いいぞ。だが俺は今席を外せない。リオを呼ぶから待ってろ」
「あ、じゃあ俺がリオの部屋に寄ってから行くよ。すぐそこだし。いい?」
「…うむ、大丈夫か?」
「大丈夫。ゆっくり歩くから。じゃあ行ってきます」
「ああ。あまり遠くに行くなよ」
「ふふっ、アルの心配性。中庭に行くだけだよ」
心配そうに見送るアルファムに手を振って、扉を開ける。
バタンと閉じて白く光った扉を見ると、身体を返して歩き出した。
リオの部屋は、俺とアルファムの部屋から角を一つ曲がった先にある。
俺を守る為に、近い場所の部屋に移動してきたのだ。
リオの部屋の前に着き、扉を叩こうとする。
その時、すぐ横にある階段からいきなり声をかけられた。
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