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「うわあっ!!」
井戸の中に真っ逆さまに落ちかけて、思わず固く目を閉じた。
だけど予想していた衝撃はなく、俺の身体が宙に浮く。
「…え?」
「カナデ!大丈夫かっ!?」
恐る恐る目を開けて声がした方に顔を向ける。
俺の背後にリオがいて、右手から出した炎で俺の身体を包み、左手から出した炎で女の人を拘束していた。
「リオ…っ、ありがとう…」
「大丈夫なんだな?無事で良かった…」
ほうっ…と息を吐いて、リオがそっと俺を地面に降ろす。
「カナデはそこで休んでて。女、これはどういうことだ!」
「あっ、待ってリオ!井戸の中に子供がいるんだっ。助けてあげて!」
「は?子供?なんでそんな所に…」
「その人の弟だって!落ちたから助けて欲しいって頼まれて、ここに来たんだ」
「ふむ…」と辺りを見回して、リオが女の人を睨む。
「おまえ、カナデを罠にかけたな?わざわざ城の中に助けを求めにくるなんておかしい。初めからここにカナデを呼び出して、井戸の中に突き落とすつもりだったな?」
やっぱり!と声に出さずに頷く。
女の人の様子がおかしいと思いながら、ついてきた俺も悪い。
だけど、これが罠だとして、弟だという子供をわざと井戸の中に落としたのだとしたら許せない!
俺は更に腹が立ってきて、文句を言おうとしたその時、「あっ、熱い…っ」と女の人が声を上げた。
「当たり前だ。わざと熱くしているんだ。女、おまえの独断でやったのか?それとも誰かに頼まれたのか?言わないと更に熱くするぞ!」
「しっ、知らないっ…、熱い…っ」
「リオ!その人を離してっ」
よく見ると、炎に拘束されている女の人の腕や首筋が赤くなっている。
俺は、慌ててリオの傍に行くと、リオの腕を掴んで止めるように言う。
「火傷しちゃう!リオっ、お願いっ、離して!」
「カナデ!またそんな甘いことを言うっ」
「だって…!あっ、ほらっ、人が来た!彼らに捕まえていてもらおう?それよりも早く子供を助けてあげてっ」
リオは、はあーっと長い溜息を吐くと、ようやく女の人を離した。
すぐにやって来た兵達に女の人を捕まえておくように言うと、井戸へ行き中を覗く。
「君、今から上に上げるから、動かないでくれよ」
「…うん」
井戸の中から、微かに男の子の返事が聞こえた。
リオは、右手に炎を出すと、井戸の中に向かって手を伸ばした。
すぐに腕を引き、炎で巻きつけた男の子を引き上げる。
男の子を井戸から離れた場所に降ろすと、「すぐに手当をしろ」と傍にいた兵に指図した。
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