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「カナ!気分はどうだ?おまえは何も心配しなくていい。ゆっくりと休んでいろ」
アルファムが、俺の手を包みながら言う。
俺の指先は冷たいはずなのに、それよりもアルファムの手が冷たい。
どれだけ心配させているのだろうと申し訳なくなって、涙を零した。
「アル…ごめんね。リオの部屋の前で助けて欲しいって女の人に声をかけられて。弟が井戸に落ちたって聞いて慌てちゃって。冷静に考えたら、なんで城の奥まで助けを求めに来たのか疑わしい所があったのに…。俺、だめだね…」
「そうだな、おまえの落ち度だ。だが、疑うことをしないのは、おまえの良い所でもある。まったく…今までも散々危ない目に合ってきたというのに、おまえはお人好し過ぎる…」
「うん…ごめん…」
アルファムが、俺の額に額をつけて、泣き笑いのような顔をする。
その顔を見て、俺の胸が苦しくなる。
ーーアルのこんな不安な顔、もう二度とさせたくなかったのに…。ごめん、アル…。
俺は更に涙を零して、鼻水をズルズルとすすった。
「アルファム様」
「…なんだ」
リオの顔色も悪い。
リオにも心配かけさせちゃったなあ、と反省する。
「俺の初動の失敗です。申し訳ございません。部屋の外のカナデの声に気づいたのに、仕事中でしたのですぐに扉を開けませんでした。しばらく待ってもカナデが入って来ないので、どうしたのかとようやくカナデの気配を追ったのです。カナデを見つけた時には、犯人がカナデの背中を押していて…。急いでカナデを助けたけど、間に合わなかった。あの時すぐに扉を開けていれば、こんなことにはならなかったっ。どうか、俺にも処罰を」
「ちっ、違う…っ」
俺は、慌てて身体を起こそうとした。
だけど、アルファムに肩を押されて動けなかった。
「カナ、動くな」
「あ…ごめん…。リオ、違うから。俺が勝手について行ったから…悪いんだ。あの時、リオを呼んでれば良かった。とにかく早く助けなきゃって焦ってたから…。だからリオは謝らないで。リオは、俺を助けてくれたんだから…」
「だけどっ、後少しでも早ければ、カナデが腹を打つことは無かった!」
「これは完全な俺の不注意だよ。リオは悪くない。だから処罰なんて無いよ…。でも…リオの気が済まないなら、俺はしばらく動けないから色々と手伝ってくれる?」
「そんなの!頼まれなくてもやるよっ!」
「ありがとう。あとは犯人のことだけど。アル、彼女は誰かに操られてると思う。だから処刑は待って。よく調べてから妥当な処罰をして」
一気に喋ってふう…と息を吐く。お腹も痛いけど頭も痛くなってきた。
再び深呼吸を繰り返しながら、アルファムを見ると、とても渋い顔をしている。
たぶん納得がいかなくて反論したいけど、俺のことを思って、何とか自分の気持ちを抑えようとしている顔だ。
俺は、ふふ…と笑うと、アルファムの頬に触れた。
「なんて顔してるの。あのね、彼女、弟が井戸に落ちて怪我をしたって言ってるのに、全然慌てなくてぼんやりとして、まるで人形みたいだった。前に俺に毒を盛った人みたいに、誰かに弱味を握られているか、魔法で操られてるんだと思う」
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