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「ローラント、俺からもお願いします。アルと…出来ればこの子の力にもなって欲しい」
「もちろんだよ、カナデ。僕で良ければ、兄上とカナデ、そして二人の子供の力になるよ」
「ありがとう」
俺は、ローラントに微笑みながら、またぽろりと涙を零した。
ローラントが俺の手を離し、アルファムが俺の頭を胸に押し当てる。
「泣くなら俺の胸でだ。ローラント、ホルガーが今、使いの者をベアトリクスの元へと飛ばしている。戻って来るまで、まだしばらくかかる。部屋で待つか?」
俺の髪の毛を梳きながら、アルファムが言う。
「たぶん…母様の異常に気づいて、僕の城から早馬が翔んでるはずです。ホルガーの使いが早馬と途中で出会えば、すぐに戻って来るのでは…」
「そうだな。ではここで待つがいい。そちらで休んでおけ。シアンもだ。今からが忙しくなるぞ」
「ありがとうございます。ですが、気になりますので、俺はホルガー様の所へ行ってきます」
「そうか。頼んだぞ」
「はい」
シアンが出て行き、少しして使用人がお茶を運んで来た。
お茶とクッキーのようなお菓子をテーブルに並べると、一礼をして出て行く。
子作りを始めるに当たって、この部屋に来る使用人は、本当に信頼出来る者だけに絞った。
だから大丈夫なのだけど、アルファムがまずお茶を一口飲みクッキーを齧って、「大丈夫だな」と俺にすすめた。
「アル…王様が自ら毒味しなくてもいいのに…。俺、この子を産んだら、毒に対する耐性を作ろうかな…」
クッキーを一つ摘んで口に放り込みながら、ぽつりと言う。
俺の隣に座ったローラントが、眉をひそめた。
「カナデはそんなことしなくてもいいよ。毒味なら僕も出来るし。僕も、小さい頃から少量の毒を摂取してきたから」
「え?アルだけじゃなくローラントも?」
「うん。兄上とは比にならないけど、僕も襲われることがあったから。耐性をつけるように言われてたんだ。母様…に…」
ローラントがお茶を飲もうとして、しゅんと俯く。
俺は、テーブルの上に置かれたローラントの手の上に、そっと手を重ねた。
「ローラント…。ローラントもいろいろ大変な思いをしてきたんだね…。俺のことも、本当の兄のように思ってくれたら、嬉しいな…」
「カナデ…」
ローラントが、俺の手の上に更に手を重ねる。
いつもなら即邪魔をするアルファムが、静かなことを不思議に思って見ると、少し頬をピクピクとさせながら、黙って俺達を見ていた。
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