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鞭打ちって痛いよなあ…と想像して、俺は眉をひそめる。
リオが言うには、物を盗んだ場合に、腕を鞭で打つ刑があるらしい。
今回は、女の人は俺を殺そうと突き落としたのだから、全身に百回の鞭を打つのだそうだ。それでも、本来なら死罪になる所だったのだから、特別なんだと言う。
「そう…。鞭の痕が残らなければいいけど…」
「カナデはそう言うと思った。…あのさ、今回はカナデもお腹の子も無事だったし、大事な時期のカナデの心身に負担をかけさせたくないとアルファム様が仰ってさ。格別の計らいで、腕を三十回鞭で打つことに決まったよ。腕なら、後で泉の水に浸せば治るし」
「…え?本当に?あ…ありがとう!」
「お礼ならアルファム様に言いなよ。まったく!アルファム様は、本当にカナデには甘いんだから!」
ふんっ!と鼻息荒くリオが言うけど、その目は怒ってはいない。
リオも心優しいから、女の人の刑が軽く済んで安堵してるに違いないんだ。
「犯した罪に対して様々な刑があることはわかってるんだ。でも俺は、どうしようもなくて罪を犯した人には、同情してしまう。駄目だよね、こんな甘い考えじゃ。この子も生まれるんだし、もっと強く厳しくならないと」
「いいよ、カナデはそのままで。アルファム様が厳しい方だから、カナデと二人揃ってちょうどいいんだよ」
「リオ…」
俺は、腕でもかなり痛そうだと、左手で右腕をさする。
そして自分のまだ薄く赤みが残る腕を見て、お風呂の後にもう一度薬を塗ってもらおうと思いながら、彼女の弟は今どうしてるのかと気にかかった。
「リオ、あの子はどうしてるの?」
「ああ。弟は、一足先に家に送り届けたよ。送って行った者の話だと、病気の母親が出て来て、自分の子が何かしでかしたのかと大変恐縮していたらしい。まあ、姉と共に帰って来る筈の弟が、兵に連れられて帰って来たからな。驚くよな」
「…女の人のこと、話したの?」
「いや…、姉の方は遅れて帰って来るとだけ…」
「そっか…」
あの女の人は、操られていただけだけど、やったことの記憶は残っているらしい。
それは、ずっと女の人を苦しめるかもしれないし、そのことを知った母親も苦しむかもしれない。
人を呪ってましてや殺そうとすることは、すごく疲れるし面倒臭いことだよなあと、何だか気持ちがしんどくなった。
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