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「カナデ、今日はどう?辛い?」
「…うん、だめ…」
執務の為に部屋を出て行ったアルファムと入れ替わりに入って来たローラントが、ベッドの傍に来て心配そうに聞く。
俺は、吐き気と頭痛に顔を歪ませながら力無く答えた。
俺が襲われた事件が解決してすぐに、自分の城と領地を後の者に引き継いで、ローラントが中央の城に移って来た。
俺は、早速王族として子供をどう育てればいいかを聞こうとわくわくしてたのだけど、俺の体調が悪くなってしまった。
酷い頭痛と吐き気、目眩でとても起き上がっていられない。
医師に診てもらったところ、子供が大きくなると共に袋も大きくなり、胃を圧迫していること、出産が近づいてきたので、出産に適した身体に変化しているからだと言われた。
「女の人は大丈夫なのですが、元々男は出産が出来る身体ではありません。それを、薬を飲んで袋を作って妊娠させ産むのですから、大きな反動があって当然なのです。辛いでしょうが、あと少しでお子の顔が見れるのですよ。がんばりましょう」
医師の説明を聞いて、なるほど…と納得する。
そもそも子供を作る前に、とても辛いぞと言われてたのだ。覚悟して作ったのだから、頑張らなきゃ。
でも、あまりにも辛そうな俺を見かねて、医師が薬を処方してくれた。
おかげで、薬を飲むと少しだけ頭痛、吐き気、目眩が治まった。
その間に、子供に栄養を届けないと…と、何とか食事を口にしていた。
「ローラントも暇じゃないのに、来てもらってごめんね…」
俺は、嘔吐きそうになる胃液を飲み込んで、小さな声で言う。
ローラントが、心配そうに俺の背中を撫でてくれた。
「僕は今はそんなに忙しくないからいいんだよ。兄上にも出来るだけカナデの傍にいてやってくれと言われてるし。僕に出来ることがあったら言って」
「うん…ありがとう…」
俺は頷いて微かに笑う。
とりあえず薬を飲みたいと思い、そう言うと、ローラントがコップに入った水と薬を持ってきてくれた。
「カナデ、起きれる?」
「うん…よいしょっ…」
俺は、掛け声を出して起き上がろうとした。
それを見て、ローラントが慌てて背中を支えてくれた。
「お腹大きくなってきたね」
「うん。この中に人ひとり入ってるなんて、不思議だね」
「すごいよね。ここに、兄上とカナデの子がいるのかぁ。本当に楽しみ。カナデ、兄上の子を産むって決心してくれてありがとう」
「ふふ、この子は幸せだね。優しいおじさんが待っててくれるんだもん」
「おじさん…。そっか、僕おじさんになるのか…」
複雑そうな表情で呟くローラントに、思わず吹き出した。
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