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「ねえ…アル、ここに来て」
ちびアルを挟んで川の字になるように、俺はアルファムに寝転んでくれるように頼む。
「こうか」と言って、アルファムがベッドに寝転んだ。
「ふふ、親子三人でこういうのしたかったんだ。幸せだね」
「そうだな。しかし、赤子とは小さいものだな。ふにゃふにゃとしていて抱くのが怖い」
「うん…。でも可愛い。本当に可愛くて愛おしい。ちびアル、元気に育ってね」
可愛くて可愛くて、いつまでも見ていたいし触れていたい。
俺は、柔らかくてふわふわとした頬に、そっと唇を押し当てた。
「カナ、ちびカナの名前だが…」
「うん」
「どうする?おまえと決めようと思ってな。まだつけていない」
「え?俺も決めていいの?」
「当たり前だ。親がその子を思って決めてやるものだろう」
「王族だから、王族に相応しい名前が決まってるんだと思ってた…」
「まあ確かに。王族に伝わる名前もある。だが、俺とおまえの子だ。二人で考えてつけてやろう」
「うんっ!何がいいかなぁ。アルに似て綺麗だしなぁ。うーん…」
「ふっ、ゆっくりと考えればいい。この子のお披露目は、まだ先だからな」
「うん。アルみたいなかっこいい名前にしようね」
「俺は、カナデみたいな優しい名前が好きだぞ」
「そうなの?でも俺の名前、この世界では珍しい名前だしなぁ」
うーん…と唸っていると、俺とアルファムの間で寝ているちびアルが、ふごふごと鼻息荒く動き出した。
俺とアルファムはそれぞれ、ちびアルの右手と左手をそっと掌に包む。
しばらくちびアルは、ふごふごと動いていたけど、だんだんと静かになって再び眠った。
眠る直前に、ふにゃあと笑った顔がとても可愛くて、俺とアルファムは、顔を見合わせて声を殺して笑った。
幸せで幸せで、俺は胸が詰まってしまい、笑いながら涙を流した。
そんな俺に気づいたアルファムが、手を伸ばして俺の頬に触れる。
「カナ、俺に至上の幸せを与えてくれて、感謝する。俺は、一生おまえを愛する」
「アルぅ…っ、もう…そんなこと言われたら涙が止まんないじゃんっ…。俺も…一生愛するっ」
「泣いていいぞ。泣き虫のおまえも愛してる。ちびカナ、おまえの母親はよく泣くぞ。俺とおまえで守ってやろうな」
「うぅ…っ」
あまりにも幸せだと、こんなにも泣けてくるということを、俺は産まれて初めて経験した。
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