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「カナには困ったものだな。大人しく俺の言うことを聞いてくれない。まあ、そういう所も好きなのだが」
「ごめんね?でも充分に気をつけてるよ。俺はもう、絶対にアルの前からいなくならないから」
「本当か?頼むぞ」
「うん」
母さまも父さまに抱きついて、背伸びをしてキスをする。
僕は仲間外れにされたような気分になって、口を尖らせて二人を睨んだ。
それに気づいた父さまが、僕の頭を撫でた。
「カエンもだぞ。おまえは生まれつき力が強いが、まだ幼い。心配だから、あまり無茶はしてくれるな」
「はい…」
「それと男たるもの、そうすぐにむくれては駄目だ。いついかなる時も、気持ちに余裕を持て」
「わかった」
そっか、すぐに怒るのは男らしくないんだ…と、僕は両手でほっぺを押さえた。
その時、頭の上から母さまの笑う声が聞こえた。
「あははっ、何言ってるの。アルもすぐに怒るじゃん。ほんと、カエンはアルにそっくりだよね」
「いつ俺が怒った」
「んー…?まあ最近はマシだけどね。それにそんなアルも好きだからいいよ」
「ふっ、おまえには敵わないな」
そう言って、また二人がキスをする。
僕は、さっき言われたばかりだけどやっぱり面白くなくて、また口を尖らせると「早くパンを食べようよ!」と叫んだ。
母さまが「そうだったね」と笑って、僕の背中を押してテーブルに向かう。
椅子を引いて僕に座るように言うと、テーブルに置いてあるポットからカップにいい香りのお茶を入れた。
「カエン、これで良かった?果物のジュースをもらって来ようか?」
「ううん。俺、このお茶好きだよ。だっていい匂いがするもん」
「良かった。俺も好き。じゃあ食べようか。ほらアルも」
「ああ」
母さまが僕の隣に座り、その隣に父さまが座る。
俺は、母さまから猫の形のパンを受け取ると、一度形を見てから大きく口を開けてかぶりついた。
「美味しい!」
「ふふ、カエン、容赦なく食べちゃったね。アル、どっちのパンがいい?」
「こっちは甘そうだな。このチーズが乗った方をもらおうか」
「どうぞ。見てこれ。このクリームがすごく美味しそうだと思わない?頂きます」
母さまが、ご飯を食べる前にいつも言う言葉を言って、パンを食べる。
母さまの好きな味だったらしく、とても綺麗な笑顔になった。
「うわぁ…すごく美味しい!クリームが濃いかなぁと思ってたけど、全然そんなことない。何個でも食べられるよ」
「そうか。おまえは本当に甘い物が好きだな」
「甘い物って疲れを取ってくれるんだよ。アルも食べる?」
「いや、いい。後でおまえを味わうから」
「え?な、何言ってんのっ。カエンがいるのに…」
母さまがそう言って、ほっぺを赤く染めて俯いた。
俺は、何のことかわからなくて、パンを口いっぱいに頬張りながら、首を大きく傾けた。
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