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「リオ、カエンの練習に付き合ってくれるの?ありがとう」
「カナデ…。カナデは本当に神様だよぅ。俺、魔法の力はカエン様に負けるけど、剣は教えれるから。それにカエン様が、俺を頼ってくれるのは嬉しいから」
リオは、俺の背中に手を添えて、「では行きましょうか」と言った。
「カエン」
「なあに?父さま」
「俺も後から行く。魔法をみてやろう」
「ほんとにっ?約束だよっ!」
「ああ」
母さまを抱き寄せたまま、父さまが俺を見て笑う。
俺は、飛び上がって喜んだ。
たまにしか練習につき合ってくれない父さまが、俺の魔法をみてくれる!
すごく嬉しくて、俺はリオを置いて部屋を飛び出した。
「あ!カエン様!待ってくださいっ!アルファム様、カナデ、失礼します!」
リオが早口で言う声が、後ろから聞こえる。
すぐにパタパタと足音がして、リオが俺の隣に並んだ。
「カエン様、廊下を走ってはなりません。シアン様に見つかると怒られますよ」
俺は、ちらりとリオを見て、「大丈夫だよ」とそのまま走り続ける。
角を曲がり、階段を駆け降りようとした時、静かだけど厳しい声が響いた。
「カエン様、お行儀が悪いですよ」
「ひっ…!」
リオがピタッと立ち止まり、恐る恐る振り返る。
俺も足を止めて、口を尖らせて振り向いた。
「シアン、ディエス国の人達を案内してたんじゃないの?」
「ええ。部屋まで案内して、後はホルガー様に任せてきました。カエン様は、何を急いでるのですか?」
「今から魔法と剣の練習をするの。後から父さまが、俺の魔法をみてくれるんだ。だから早く練習しないと」
「そうですか。気が急くのはわかりますが、廊下を走りますと誰かにぶつかって危ないです。練習場はすぐそこですし、今からは歩いて行って下さいね。リオもだ。カエン様を注意しなくてはならないのに、何を一緒に走ってるのだ」
「すっ、すいません…っ」
リオが、勢いよく頭を下げる。
シアンは、怒らせると怖い。もしかして、父さまよりも怖いかもしれないと、俺は思ってる。
「…わかったよ。ねえシアン、ディエス国の王様とリリーって子、部屋を見て何か言ってた?」
シアンが、少しだけ首を傾ける。
「…何か?ああ、広くて綺麗だと仰ってましたね。それにリリー王女は、飾られた花を見て喜んでましたよ」
「なら良かった。じゃあ練習に行ってくるから。あっ、まだ父さまと母さまは、いちゃいちゃしてるからっ。早く用事を済ませて来てって言っておいて!」
シアンは、「では、お二人の邪魔をしてきますか」と言って、廊下の角を曲がって行った。
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