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「カエン様といいリリー様といい、人使いの荒い…」とブツブツ言うリオを引き連れて、リリーが城の中に戻って行った。
俺が二人の去った方を見ていると、ふわりと身体が宙に浮いた。
「さて、魔法を見てやろう。今日のカエンは男らしかったぞ」
「ほんと?だってリリーは女の子だからね。優しくしてあげないと…」
「カエンは立派な騎士だね」
俺を抱き上げた父さまに寄り添って、母さまが俺の頬に触れる。
父さまと母さまに褒められて、俺は最高に嬉しくなった。
父さまに抱っこされると、めちゃくちゃ高くて興奮する。
母さまに触れられると、気持ちが落ち着く。
俺は、とても幸せな気持ちで笑顔になった。
父さまに魔法を見てもらって、汗をかいた身体を洗った。
父さまに教えてもらったおかげで、掌からもっと大きな炎を出せるようになった。
俺と一緒に、母さまも教えてもらっていた。
母さまは、この世界の生まれじゃないから、本当は魔法は使えないんだって。
でもいっぱいいっぱい頑張って、少しだけ使えるようになったんだって。
でも「こんなんじゃあ誰かを助けたり出来ない」と言って、暇があれば俺と一緒に練習をしていた。
母さまは、どんなに練習をしても、弱い魔法しか使えなかった。
でも今日は、母さまの伸ばした指先から、とても小さな炎が出た。
母さまは、すごく喜んだ。白いほっぺを赤くして、子供みたいに喜んだ。
その様子を見て、父さまも喜んだ。母さまにしか見せない笑顔で、母さまを抱きしめた。
父さまと母さまは、時々俺を仲間外れにして、二人だけの世界に入ってしまう。
この時も、母さまは父さまにしがみつき、父さまは母さまの顔を上げてキスをしていた。
俺を仲間外れすることにムッとするけど、仲の良い二人を見るのは好きなんだ。
目に涙を溜めて父さまといっぱいキスをした母さまが、今度は俺に抱きついた。
「カエン!見てくれた?全然カエンには敵わないけど、すごく嬉しい!初めて炎が出せた…。なんか…やっと、俺も炎の国の民として認めてもらえた気がする…」
母さまが、鼻をすすりながら小さく呟く。
俺は、なんだか急に寂しい気持ちになった。
母さまは、臣下からも民からも好かれている。この国の王様である父さまに、一番に好かれている。
だけど、ずっと不安に思っていたのかな…この世界の生まれじゃないことを…。ずっと寂しく思っていたのかな…一人だって…。
でもっ、でもっ!父さまは、母さまと血が繋がってないけど、俺は母さまと血が繋がってる!
だから母さまは、もう一人じゃないよっ!
そう言いたいのだけど、まだ子供の俺は、スラスラと言葉が出てこなくて、母さまを強く抱きしめ返すことしか出来なかった。
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