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リオが少し怖い顔をして、「そしてこれらは、何もカエン様に限ったことではありません。この先、王族であるリリー様にも起こるかもしれないことです」と優しく、だけど強く言った。
「リリー様、ディエス国は平和で危険は無いかもしれません。ですが、様々な予想もつかないこと等、何が起こるかわかりません。どうか気をつけてくださいね」
「うん…」
話を聞いて怖くなったのか、リリーが俯いて素直に返事をする。
リオは、もう一度リリーの頭を優しく撫でると、立ち上がって俺を見た。
「カエン様も、よくわかってらっしゃるとは思いますが、くれぐれも勝手なことはしないでくださいよ。城内は安全ですけど、城外には他国の民がおります。城から近いとはいえ、カナデと二人でルートのパン屋に行くのは駄目です」
「えー!なんで!何かあっても俺がカナを守るし、すぐ城の中に逃げられるもん!」
はあっ!ととても大きな溜息を吐いて、リオがまた怖い顔をした。
「そんな顔しても怖くないし」
「…あのですね、確かに年の割にカエン様は強い。俺よりも強い。でも、自分は強いんだと慢心し過ぎるのは良くないです。逆に油断してやられてしまいます。それに世の中には、とんでもない力を持つ者がいます。実際にカナデは、そんな奴にも狙われたのですよ?そいつのせいで、この世界から一度は消えたんですよ?世界に二つと無い尊い黒髪を持つということは、それほど危険だということを、よく理解してください」
「……リオが言ってること、よくわかんない」
「カエン様」
リオは本当にうるさい。男なのによくしゃべる。
母さまが危ない目に合ったっていうことは、よくわかった。
母さまと同じ黒髪の俺が狙われるんだということも、よくわかった。
だけど、俺は強いんだよ?自分の国の中の、しかも城からすぐそこに行くぐらい、大丈夫だもん。そんなにうるさく言わなくてもいいじゃん。
俺は、リリーの手を握ると、「リリー、向こうに行こ」とその場から離れた。
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