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奏の想い 4
五日間続いた式典が終わり、各国の王族は、それぞれの国に帰って行った。
そしてまた、平穏な日々が訪れる。
カエンは、次期王就任の儀式をしたことで、ますます王になるという思いが強くなったようで、アルファムの傍にピタリとついて、熱心に国政を学んでいる。
俺も、俺の出来ることを今まで以上に頑張っていた。アルファムやカエンと、この国の為に頑張っていた。
だけど、駄目だな。
俺はやっぱり、カエンが王となった姿は見れないかもしれない。
薬も毒と同じで、少しずつ身体が慣れてくるんだろうな。
昔、アルファムが少しずつ毒を摂取して、毒が効きにくい体質になった話を聞いた。
それと同じで、ローラントから貰った薬を毎日飲み続けた俺は、だんだんとその薬が効きにくい身体になってしまったんだ。
でもこの薬は、本当に良く効いたと思う。本当に良い薬だった。
だって、カエンの十三歳の誕生日から一年は、俺は元気だったんだから。
でも、カエンが十四歳になった頃から、また疲れやすくなった。熱を出して、頻繁に倒れるようになった。
その頃から、ほぼ部屋にこもって、寝るか本を読むだけの毎日だ。でも毎日寝込んでいるわけではなく、たまに気分が良い日もある。
そういう日は、アルファムに頼んで、城の中をゆっくりと散歩した。
見るもの全てを記憶するように、ゆっくりと歩いた。
俺の幸せがたくさん詰まった炎の国の城。
ここで暮らした日々は、とても充実していた。
だから、俺は満足だよ。寂しいことも怖いこともないよ。
あ、でもアルやカエンと離れることは、やっぱり嫌だな。シアンやリオ、レオナルトやサッシャ達、皆と離れるのも寂しいかな。
ただ一番の心配は、アルのことだ。
俺がいなくなったら、とても悲しむだろうな。
でも願わくば、悲しみを乗り越えて、カエンと共に国を護って欲しい。無いとは思うけど、俺の後を追うようなことはしないで欲しい。
念の為、ホルガーやシアンに、お願いしておこう。アルが無茶しないように、見張ってもらおう。
カエンは、きっと良い王になれる。
日の国のリリー王女と仲が良い。
月の国のセレネ王とも仲が良い。
水の国とは元々いい関係だ。
風の国、山の国とも上手くやれるだろう。
そしてカエンも、俺やアルみたいに、すごく愛せる人と、いつか出会えたらいいな。
その人が男でも女でも、一生愛し続けて欲しい。愛されて欲しい。
俺は、愛する人が傍にいてくれたらそれでいいと思っていた。
だけど、思いもしなかった子供を授かった。
身に余る幸せだった。
アルとカエン、俺にこんな素晴らしい幸せを与えてくれて、ありがとう。
二人とも愛してるよ。
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