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男の背後にいた兵達が、慌てて左右に逃げる。
うん、皆よくわかってる。一応力を抑えるけど、俺の攻撃範囲内にいるのは危険だからね。
俺は、掌から炎を飛ばした。炎はまるで生き物のように、男に襲いかかる。
男は、黒い雷の壁を作って防ごうとした。
あの雷もかなりの威力だけど、たぶん無駄だよ。
炎は雷の壁を突き破り、男の胸を目掛けて進む。
すんでのところで男が避け、炎は男の左肩を貫いた。
この一連の流れは、瞬き一瞬の間のことだ。
「ぐっ…」
「え、避けちゃう?素早いね」
俺は、素直に驚いた。
この男、魔法の力も強いし反射神経もいい。
何も姑息な手を使わなくても、普通に頑張れば、元いた世界でも重宝されたんじゃないの?
俺は、今度は左手に青い炎を出した。
後ろから、シアンが咎める声を出す。
「カエン様、それはやり過ぎでは…」
「え?そうかなあ」
振り向いて、シアンに首を傾けてみせる。
「下手すると、この広場が消し飛びかねません」
「…それは困るね。わかったよ、シアン」
俺は前を向くと、左手の炎を青から黄色に変えた。
「これくらいならいいよね?」
「まあ…。壊さない程度にしてくださいよ」
「わかってる」
左肩を押さえてこちらを睨む男に向かって、再び炎を飛ばす。
男が慌てて黒い雷をこちらに飛ばしたけど、黄色い炎は、その黒い雷を飲み込んで進み、男の腹に当たった。
衝撃で男の身体が数十メートル後ろに飛び、石畳に身体を打ちつけて転がる。
もう立ち上がれないだろうと思ったのに、男がまだ、呻きながら起き上がろうとする。
「あんた、本当に丈夫だね。まだ動けるんだ?なら次はこの炎で…」
俺は、今度は右手に白い炎を出した。
途端にシアンが、慌てて俺を止める。
「カエン様!それは駄目です!それ以上は城が壊れてしまいます。もうその男は、立ち上がれない様子…。捕らえて地下牢に閉じ込めます。この戦いは、これで終わりです」
「でも念には念を…」
「駄目です。見てごらんなさい、あの男の腹を。ひどく焼けただれています。早く治癒の魔法を施さないと死んでしまいます。あの男には、聞かねばならないことがある。今死なせる訳にはいきません。後は俺に任せてください。それよりも…どうしますか?カエン様も海辺の城へ行かれますか?」
俺は、チラリと男に目を向けて、白い炎を消す。そしてシアンに向き合うと、「そうだな」と頷いた。
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