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冷静なシアンまでもが男に振り回されている様子がおかしくて、俺は思わず吹いてしまう。
「カエン様…」
「んんっ…!ごめん。あのね、俺は悪い奴じゃなければって言ったんだよ。おまえは街を燃やした悪い奴じゃないか」
「あー…。あれは本当にごめんなさい。理由があるって言えば許してくれる?」
「どんな理由なんだよ?」
「…わからない」
「は?わからないのに燃やしたのか?」
「うん…ごめん」
男が、しゅんと項垂れる。
その様子は、俺達をからかっている風には見えない。
俺はふう…と長い息を吐くと、シアンに部屋を出て行くように指示を出した。
シアンが渋い顔をしたが、俺が頷くと渋々と出て行った。
俺は男に向き直り、もう一度尋ねた。
「ねぇ、覚えてること全部話して。笑ったり疑ったりしない。最後までちゃんと聞くから」
男の肩がピクリと揺れるのを見た。
しばらく沈黙が続き、男がゆっくりと顔を上げた。
出会ってからずっと明るかった男だけど、今俺を見つめている目が、不安そうに揺れている。
俺は、男が話し出すまで静かに待った。
「あの…こんな話…信じてくれる?」
「信じるよ。今のおまえの目は、ふざけていないから」
「ありがとう。あのっ、昨日は本当に何も覚えてなかったんだ。一晩経って…思い出した。俺は、この世界の人間じゃない」
「うん」
「ん?驚かないの?あ、そういえば昨日、君もそんなことを言ってたね?」
「うん。俺は違う世界から来た人を知ってるから」
「えっ!俺以外にもいるの?その人に会いたい!」
俺は、そっと目を伏せ、机の上で組んだ両手を見つめる。
「うん…その人はもういないよ。死んでしまったから…」
「え…そうなの?そうかあ…そうかあ…」
明らかに落胆して肩を落とす男に「それで?」と先を促す。
男はちらりと俺を見て、話を続けた。
「俺の名前は……ハオラン。中華の国から来た」
「ちゅ…う、か?にほんじゃなくて?」
「にほん?どこ?それ…」
首を傾げる男…ハオランを見て、俺も首を傾ける。
他の世界は変わった名前が多いな…。でもそうか。母さまとは違う世界なのか。
母さまはあまり話してくれなかったから、どんな世界かを聞きたかったのにな…。
もしかしたら母さまと同じ所から来たのかもと期待していたので、少し落胆した。
「カエン?」
「あ、ごめん。ハオ…ラン。続けて」
「うん。俺はね、皇帝…王の三番目の息子なんだ。一応君と同じ王族なんだよ」
「へえ…」
俺は、ハオランが身分の高い者だろうと薄々思っていたので、対して驚かなかった。
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