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「カエン様…どういうことです?」
俺の部屋の隣の小部屋の前に着き、扉に手をかけた所で、背後からシアンの冷たい声がした。
俺の後ろでハオランが「ひっ!」と息を飲む音がする。
俺は、恐る恐る振り返ると、愛想笑いを浮かべた。
「や、やあ…シアン。仕事は終わったの?」
「まだです。カエン様が得体の知れない人物と二人きりだと思うと、とても仕事になど手がつきません。それで、その得体の知れない男がなぜカエン様の部屋近くにいるのですか?」
「あ、えーっと、ハオラ…あ、彼ハオランって言うんだけどね。ハオランをこの部屋に軟禁しようと思って連れてきた」
「は?カエン様の隣りの部屋に?」
「そう。話を聞く限り、ハオランは悪人ではないよ。色々と事情がある。街を燃やした罪人ではあるけど、地下牢に入れる程でもない。だから俺が監視するよ。もっと話も聞きたい…し…」
俺はシアンに睨まれて、語尾が小さくなる。
ハオランも、いつの間にか俺の後ろに隠れている。
シアンは、とても大きな溜息を吐くと、ハオランを上からギロリと睨みつけた。
「おい…おまえ、ハオランとやら。カエン様に少しでも何かしてみろ。即刻死罪だ」
「しっ、しないよっ!俺はカエンが好きだしっ、なんなら役に立ちたいと思ってるしっ」
「いらぬことはするな。大人しくしてろ。わかったな?」
「はっ、はいっ」
ハオランも母さまと同じで、この世界の人と比べれば小柄だ。
背が高く冷たく整った顔のシアンに睨まれれば、そりゃあ怖いよな…。
俺は、ハオランが可哀想になって、後ろ手でそっとハオランの手を握った。
「シアン。この部屋の周りには魔法をかける。窓も扉を開閉出来ないし、ハオランが炎を出せないようにする。それにハオランはもう、俺に攻撃はしない…けどもし再び攻撃してくるようなら、その時は問答無用で殺す。…それならいいか?」
「…はい。是非そうしてください。くれぐれも油断なさいませんよう」
「わかってる。俺には人を見る目があると言ったのはおまえだぞ。俺を信じろ」
「そうでしたね…申し訳ありませんでした。では、リオに命じて必要な物を揃えさせます。俺は職務に戻ります」
「うん、よろしく頼む。俺も明日からは職務に戻るよ」
シアンが頭を下げて去って行く。
俺は、握ったままだった手を離して、ハオランに振り返った。
「ハオラン、大丈夫だよ。シアンは怖いけど、ちゃんと話せばわかってくれるから」
「…うん。俺…かなり嫌われてるね。街を燃やしちゃったもんね…」
「その理由もシアンに話しておく。毒霧のことも調べる。ハオランはしばらくは、ここで大人しくしてて」
ハオランは、力なく笑って頷いた。
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