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それからも頭の中に声が聞こえ続け、遂には眠っていても響いてくるようになった。そのせいで途切れ途切れにしか眠れなくなり、常に寝不足の状態で、すぐに貧血を起こしてしまう。
ハオランはとても心配をして、医師に見てもらえとうるさく言う。
だけど俺は、誰にも言うつもりはなかった。
だからハオランの次に俺の異変に気づいたリオに、「この所いろいろとあって疲れが一気に出たんだ。滋養薬を飲んで少し休めば治る」と言って、薬を取寄せてもらった。
「シアン様に言わなくていいんですか?」
部屋に薬を持って来たリオが、薬が入った袋を手渡しながら不満げな様子で口を尖らせる。
俺は無理に笑って、リオの肩を叩いた。
「言ってもいいけど…リオも怒られるんじゃない?」
「なんでっ?」
「俺ももちろん無茶し過ぎだって怒られるけど、世話係のリオも俺の体調管理を怠ったって注意されるよ、きっと」
「はっ!確かに…」
「それにさ、本当に疲れてるだけなんだって。母さまが亡くなってから父さまが失踪したり即位したり変な奴が次々に現れたり…。これで疲れない方がおかしいと思わないか?」
「…聞いてるだけで疲れますね」
「だろ?まあこの薬を飲んで二三日休めばよくなるよ。もしシアンになにか聞かれたら、過労だって説明しといて」
「はあ…。え?俺がっ?」
「そう。じゃあ頼んだよ」
口を開けて固まったリオの目の前で、扉をバタンと閉める。その場に座り込みたいのを我慢して、何とかベッドまで辿り着くと倒れ込んだ。
「カエン…大丈夫?」
「…入って来ていいよ」
隣の部屋に繋がる扉から小さな声がして、ゆっくりとこちら側へと開く。ハオランが恐る恐る顔を出して、ベッドに倒れている俺を見て慌てて走って来た。
「カエン!また気分が悪いのっ?」
「うん…最悪。ハオラン、机の上にある水を取ってくれる?」
「わかった」
ハオランが水差しからコップに水を入れて持って来る。
俺は何とか身体を起こしてコップを受け取ろうとしたけど、また頭の中に声が響いて、目が回って仰向けに倒れてしまう。
「カエン!」
「はあっ…薬…」
「薬?これのことだね?」
もう返事をするのもしんどくて、腕を額に乗せて固く目を閉じ、小さく頷く。
リオが持って来た袋の中に、滋養薬と目眩の薬が入っている筈だ。
ハオランが隣でごそごそと動き、俺の口の中に苦い丸薬を二粒、指で押し込んだ。
「にが…、みず…」
「ちょっと待ってっ」
俺は、てっきり頭を支えて水を飲ませてくれるものだと思っていた。
なのにいきなり唇を柔らかいもので塞がれて、冷たい水が口内に流れ込んできて驚いた。何とか薬を飲み込み、口を開こうとした所を、また柔らかいもので塞がれ水が流れ込む。
え?これ…口移しで飲ませてる?
驚いたけど、薬を飲めたし「もういい」と言おうとすると、三度唇を塞がれた。そこで俺の中の何かが弾けた。
俺はゆっくり水を飲み込むと、目眩で痺れる手を上げてハオランの後頭部を押さえ、舌を伸ばして逃げるハオランの舌を強く吸った。
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