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死んじゃう
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どうしよう。
死んじゃう……のかな?
「テメェ、ヘタレの分際でよくそんなこと言えたなッ!!」
不良の拳が飛んでくる。
ああ、死ぬんだ……さよなら、僕。
そう思って、目を瞑った。
でも、いつになっても意識が遠のいていく感覚はない。
うっすらと目を開けると……目の前には驚きの光景が広がっていた。
「古都……さん?」
この人が、僕を庇っていた。
「やめろ。」
なんで?
どうして?
唖然としている僕を背に、古都さんは言った。
「こんなチビ殴ってまた生徒指導室とか勘弁だわ、どうせならもっと殴りがいのある奴殺りにいこうぜ。」
……何だ、そういうことか。
「まぁ、古都が言うなら……」
「ん、北高のイキリ雑魚共んとこ行こーぜ。」
そう言って、古都さんと古都さんの仲間達は教室を出た。
たすかっ、た……?
「咲斗ー!」
「ぅわっ!」
落ち着いたのもつかの間、後ろから誰かに抱きつかれた。
「も、もう……何すんだよ李咲!」
「だ、大丈夫だったか……?咲斗。」
人の話も聞かず心配そうに僕に抱きついたのは、神田 李咲。クラスで唯一の友達。
「俺、助けに行こうとしたんだけど怖くて足がすくんじゃってさー……古都が庇ってくれて本当によかった………」
「だね……ほんとに、死を覚悟したよ。」
「にしても、なんで庇ってくれたんだろーな。」
その後は何も無かったかのように時間が進み、古都さん達が帰ってくることは無かった。
まぁ、日常茶飯事なので皆気にしてないみたいだけど。
学校が終わり正門まで李咲と一緒に歩いていると、正門のところに誰が見ても驚く程のイケメンが立っていた。
「……お兄ちゃん?」
彼は、僕の兄、秋葉 優人。
兄は僕を見て、ぱぁっと明るくなった。
「咲斗!おかえり!一緒に帰ろっか。」
僕のところに駆け寄ってきて、李咲に気付かなかったのかそう言った。
「ごめん……僕、今日は李咲と………」
帰るから、そう断ろうとした瞬間、手首を強く掴まれた。
「っ、いた……!」
そして、兄は笑った。
「……あは、咲斗は俺と一緒に帰るんだよね?じゃないと俺、おかしくなっちゃうなぁー」
駄目だ、もう手が付かない。
兄は、少し病んでいる。
“この目”になったらもう、逆らえない。
「……あ、俺は大丈夫だよ!咲斗、また明日な。」
「あ、まって、李咲………」
李咲は場の空気を察したのか帰ってしまった。
(この人とふたりきりにしないで………怖いよ……)
僕を見て微笑む兄の目は、笑っていない。
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