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13 side傑
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学校に着くと相変わらず待ち伏せする生徒の数が多い。
ミラー越しに見る伊織様は目を伏せて現実逃避している。大人数に囲まれるのも質問攻めも得意ではないからだろう。
渋々出てきた伊織様を横目に目立つ彼らを探す。
いつも通りの時間だから白のリムジンが到着する頃だと思うのだが…
私の勘は当たったようで、すぐに一際大きい車が止まり柊さんが爽やかに出てくる。
サラサラの黒髪に誰の遺伝かは知らないが外国人のような青色の瞳、一瞬他の生徒たちを写し優しく対応するがすぐこちらを見つけ次の瞬間には伊織様しかその目には写っていなかった。
「伊織に橘さんおはよう」
伊織様が挨拶を返すとよくできましたでもするように頭を撫でている。
「おはようございます。少しお話があるのですが、宜しいでしょうか。」
少し真面目な顔で言うともうなんのことかわかったのか伊織様の耳を塞いで自分の胸元に顔を埋めさせた。
「伊織に何か変わったことでもあったの?」
「はい、この間の春休みいつもより例の仕事が酷い内容でして。それに加え、先日奥様からお預かりした仕事が想像を絶する量らしく」
顔をしかめながら聞く所相当心配して下さっているのだろう。
伊織様が必要以上の仕事を課せられているのはいつものことだが今回は早めに対処しないといけない気がする。
「それで、体の具合はどうなの?」
会話を聞かれないようにしっかりと伊織様の耳を塞いでいて、時折話していることが気になるのか伊織様が手をどかそうと試みているのにびくともしない。
「もう何日も寝れてないのが1番の問題です。お食事もあまり喉を通らないようでして。」
高校生の食べる量よりはるかに少なく、残したものを申し訳なさそうにしながら返されるのを思い出す。
ただでさえ体がお強くないのにこのままではまた入院沙汰になってしまう
「今朝微熱がありましたので、本日から注意深く見てくださるようお願いいたします。喘息の発作が出ないとも限らないので…この御礼は必ず致します」
礼はいらないよと笑顔で言われその後伊織様の手を引きさりげなく他の生徒から守るように登校していった。
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