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* Scent.1 *
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「お母さん疲れてる? 僕、お手伝いするよ。お掃除するところある? お買い物も行くよ」
立花がオメガ性であることが確定して、覆らないと分かると真綾はしきりに立花を避けるようになった。
今朝から服も着替えておらず、畳の上で横になっている真綾を見て、立花は心配して気遣う。
「何もしなくていいから……」
「で、でも、お母さんすごくしんどそうだし……。もうすぐお父さんも帰ってくるよ」
「……私の掃除が行き届いてないって言いたいの? ご飯だって毎日きちんとつくってあげているでしょう。何が不満なの。答えなさい、立花……っ!」
腕を掴まれて部屋の中に引き摺りこまれる。
頭や頬を平手で打たれて、立花はパニックになりながらひたすらに「ごめんなさい」と謝った。
同じ場所ばかり殴られて痛みも麻痺してくる。
振り上げる真綾の手はすっかり赤くなっていて、そっちだって痛いだろうな、と思う。
玄関の鍵を回す音が響くと、真綾は我に返って立花の乱れた服を直した。
最初は告げ口しないように散々言い聞かされてきたが、立花が誰にも訴えないと分かると何も言われなくなったのだ。
いつものように立花はランドセルから筆記用具と宿題のノートを取り出して、勉強をしている振りをする。
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