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* Scent.2 *
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犯されないだけ運がよかった。
もう後ろを振り返っても、介抱してくれたあの男の姿は見当たらなかった。
フェロモンは完全に消え去ったはずなのに、身体は疼いて頭の中はセックスのことしか考えられなくなる。
肩に提げていたショルダーバッグから使いきりの抑製剤を数本取り出すと、震える腕をもう片方の手で押さえながら、太股へと突き刺した。
男と寝るために夜な夜な発情促進剤を入れられているため、通常の用量では全く効かないのだ。
緊急用で持ち歩いているものを全て打ち終えると、立花は深く呼吸をしてふしだらに緩んでいた表情を引き締めた。
× × ×
本館の裏にある研究棟は主に大学三年以上の学生が出入りしている。
立花は大学内への立ち入り許可証を首から下げて、別館の裏手へ回った。
チップが埋め込まれている許可証を読み込ませて、食堂へ続く扉を解錠した。
許可証は勤務時間を記録するタイムカードの代わりにもなる。
更衣室のロッカーから白シャツと黒のベスト、エプロンを取り出して着替えると、持ってきた荷物と脱いだ服を手早く放り込んだ。
「おはようございます。遅れてしまってすみません」
「包海さん。おはようございますー。別にいいのよ5分くらい」
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