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* Scent.2 *
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パートの女性達は皆、無邪気な二葉に眉が下がりっ放しだ。
「よろしくお願いします。立花さんと2人なんて、久し振りですね」
「うん、よろしくね」
二葉はいつものようにぺこりと一礼して、立花の側に立った。
分かりやすいくらいに愛想を振り撒く二葉が、正直に言って苦手な部類の人間だった。
向こうだって、いつも言葉少なに返答する立花を可愛いげがないと感じているのかもしれない。
二葉のオーダーしたコーヒーを今日の売り上げに加えて、後一人で二桁に乗るな、と計算する。
午後も客が来ればの話だが。
「いらっしゃいませ……。あ……」
カウンター越しに人の気配を感じて、立花は声をかけた。
長身の男と目が合った瞬間、息が詰まりそうな感覚に襲われる。
「君……今朝の」
唇の形が立花の名前を紡ぐように見えたが、それに続く声は後ろからやってきた二葉にかき消された。
「あっ、涼風[スズカゼ]さんだ! こんにちは。今日もコーヒー飲みに来たんですか?」
「今日も、って。昨日初めて来たばかりなのにな。ここのコーヒー美味しいよね。学生のときは全然知らなかった」
「分かりますー! 立花さんが毎朝挽いてくれてるんですよ。僕も大好きです」
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