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* Scent.2 *
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萎縮しながらも正直に答える二葉を庇い、立花が前に出る。
声を荒げている金髪の男は、カウンターを煩く叩きながら「責任を取れ」としきりに騒いでいる。
「申し訳ございません。火傷のほうは大丈夫でしょうか?」
「どこが大丈夫に見えるんだ? そっちのオメガになあ、わざと引っ掛けられたんだよ。どう責任取るつもりだ」
シャツの襟足の隙間から黒のチョーカーを見つけられ、くくっ、とバカにするような笑いが降りかかった。
オメガに対する差別は今に始まった訳じゃない。ただ、直接的な侮蔑に心はすくみそうになる。
「失礼致しました。お怪我の具合はこちらでは判断出来かねますので、一度診ていただいたほうがよろしいかと思います。保健室までお連れしましょうか」
火傷を負ったという手のほうに立花が目線をやると、すぐにもう片方の手で覆った。
見え透いた訴えに対して、立花は怯むことなく冷静に対処する。
「そんなことで許されると思うなよ。……そっちのオメガはここの1年だったよなぁ? 大事にしたくねぇなら、どうしたらいいか分かるよな」
苦し紛れに吐いたのは、二葉を揺さぶる脅迫だった。
今まで下手に出ていた立花も考えなしの浅はかさにさすがに呆れて、お引き取り願おうと口を開きかけたときだった。
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