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* Scent.4 *
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些細な不満やすれ違いが、知らない間にちょっとずつ溜まっていたのだ。
『あの時は、気が動転していてオメガじゃない、って言ってしまったんです。皆さんに迷惑とか苦労をかけてる、って聞いたら……辛くなって』
泣きながらそう説明する二葉を誰も責められなかったし、立花もそれを信じることにした。
二葉のことを内心疎ましく思っていたのが、逆に心強い味方になってくれていて、自己中心的に考えていた自分が恥ずかしくなった。
負い目に感じる部分はないとは言えないけれど、ぱっと見の印象や言動だけで二葉の人間性を軽んじるのは失礼だと思ったのだ。
だから、もっと二葉と打ち解けようと、自分なりに努力している。
いつまでも光らないスマートフォンを見つめる立花に、聞き慣れた、でも少し上擦った声が降ってきた。
「立花君だよね?」
「え、は、はいっ」
「見つけられなかったら連絡しようとしてたんだけど。すぐに分かった」
立花は名前を呼ばれて、弾かれるようにして顔を上げた。
立花の顔を確認すると優しく笑んでくれたので、立花も同じ表情をした。
数メートル離れた場所にいる大勢の人は、もしかして今日のメンバーなのだろうか。
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