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* Scent.4 *
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仲のいい友達同士でグループをつくっている中で、誰とも初対面の立花はその雰囲気に混ざれないでいた。
飲み物のオーダーを取りまとめている人は声をかけたそうだったが、飲み放題のメニュー表と睨めっこする立花はそれに全く気付けないでいた。
「何で迷ってるの?」
「うん、と……いろいろです」
服だけを吟味するのではなくて、お酒の種類も調べればよかったな、と今さらながら思う。
ビールや焼酎は味もアルコール度数もよく知らないので、無難に柑橘系のサワーを頼んだ。
お酒が全員分行き届いた頃合いで、教員らしき大人の向かい側にいた真下が、立ち上がって挨拶をする。
「今日は集まっていただいてありがとうございます。2年のゼミ生や、3年の研究配属の人、たくさんの人に入っていただいて研究室も賑やかになると思います。生命情報研究室を、どうぞたくさん盛り上げていってください!」
真下の同期が割れんばかりの拍手を送り、後輩達もそれにならって続けて拍手をする。
隣の涼風はビールグラスを、立花の持っているグラスの口にこつん、と合わせた。
「来てくれてありがとう。お仕事お疲れさま」
「涼風さんも……お疲れさまです」
──やっぱり何か……場違いだったかな。
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