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* Scent.4 *
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捻る詮を間違えたらしく、立花は頭から冷水を浴びる。
「ひゃっ……!」と短い悲鳴を叫びながら飛び上がった。
アルコールで火照っていた肌が一気に冷やされて、程よく酔ってほわほわと気持ちよくなっていた頭も、次第に覚醒してくる。
──わ、わ……どうしよう。涼風さんに何てことを。
お酒は何でも忘れられる特効薬ではない。
酔いが覚めていくにつれて、自分が放った恥ずかしい言葉の数々が思い出されて、立花は萎んだ声を漏らした。
帰りたくない、と言ったのは覚えていて、今いるのは恐らく涼風が住んでいる家だ。
何故帰りたくないと言ったのか、その周辺の記憶は欠落している。
知られてない……よね。
本当は汚い自分を晒したくない。
叔父や客に身体を売っているのだと知られたら、涼風はきっと軽蔑するだろう。
涼風が立花を浴室に1人残して出ていった理由も、今ならはっきりと分かる。
2度と、あの日のような間違いを起こさないためだ。
立花を抱きたいのなら理性を取り払ってそうすればいいのに、涼風がそうしないのは……。
──僕と、番いたくないってこと……。
アルファは優秀な血筋を守るために、同じアルファ同士の男女で結婚をすることがほとんどだ。
劣等なオメガを選ぶのは稀なケースで、涼風がオメガを遠ざける理由も理解出来る。
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