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* Scent.4 *
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「じ、じゃあ、せめて場所を代わりましょう!」
必死な立花の説得に、涼風は思わず吹き出した。
涼風は依然として優しい声色で立花を諭すけれど、向こうも折れないだろうという意思を感じる。
暖かい部屋とベッドを与えられているというのに、独りよがりな不満は消えない。
「いやだ……涼風さんと、一緒がいい」
ぽろりと本音を溢すのと同時に、立花の瞳から滴が流れた。
その情緒不安定さに自分でも驚いた。
それに立花を不本意に襲わないように自制している、涼風の思いを尊重しないような発言だった。
「立花君……」
がたり、と窓枠が揺れて、冷たく切ない香りをした風を受ける。
久しぶりに胸の内から突き上げられる衝動を感じて、立花は身震いした。
──あれ、何で……抑制剤、ちゃんと打ったのに……?
薬だけで本能をカバー出来ないことは、身に染みて分かっている。
それでも自分に投与したのは4倍の量だ。
だからヒートになるはずなんてない。涼風だって……。
「……あ、あ。んっ、んん……! ふ、あ、あ……」
「……立花君に1つ嘘を吐いてた」
部屋に入るなり、立花の細い身体を軋むくらいに強く抱いた涼風は、唇を離した後で苦しげに呟いた。
放り投げられるようにしてベッドに着地した立花に、すぐに大きな影が降ってくる。
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