アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
* Scent.5 *
-
鋭く刺のある言葉に躓いた。
まるで他人同士のような空気が重く、立花にのしかかる。
声色が明らかに拒絶を含んでいて、もう何も言えなかった。
「あ、いえ。そういう質問、あまりされたことなくて。涼風さんを取ろうなんてことはしないので、安心してください。というか、立花さんには勝てませんよぉ……」
ころっと機嫌を直して、立花の苦手な冗談を言う。
結局二葉の気になっている人については、はぐらかされてしまった。
──いきなり……でもないと思うんだけど。
思い返してみても、変な質問にはなっていなかったはずだ。
気にはなるものの、二葉はその話題を押し潰すように隠しながら喋る。
余計な詮索はしない。立花にだって、もしかしたら二葉にだって、触られたくない傷があるのだから。
やがてメインの料理が運ばれてきて、二葉は「わあ!」と喜んだ。立花もすごいと呟く。
日替わりのランチメニューはオムライスで、半熟の卵が皿から飛び出しそうなくらいの大きさだ。
上のソースはホワイトとデミグラスの二色で、見映えもすごくいい。
スプーンを入れるとほろっと柔らかい卵と中のバターライスが崩れる。
シンプルなオムライスに、炙った大口の鶏肉がいくつも入っていて美味しい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
131 / 263