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* Scent.6 *
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自分を買った客から情報をかき集めたのだろうか。
接点のない涼風に正確な情報を渡すとは考えにくいのだ。
涼風を信じたい。瑛智の言葉は投げやりな反論などではなく、立花に現実を知らしめる正論だ。
「君が立花の友人だから話に応じたまでだ。私も忙しいのでね。失礼するよ」
「この情報は俺個人で買ったものです。後日メディアが記事にするそうですよ」
「何だと……?」
涼風が口にする証拠の出所が分かり、瑛智の相好が険しいものに変わる。
「他社に渡さないことを条件で、個人的に使いたいとお願いしたら、快く売ってくれましたよ。立花君の件だけではなく、大学病院の敷地内公募の不正も、全てメディアが証拠を掴んでいます」
大学病院という単語を聞いて、仁居の顔が浮かんだ。
彼は立花を番にする代わりに、涼風の研究を自身の病院の臨床で使うと言っていた。
もし、敷地内公募の不正が世間に露呈したら、涼風の研究だって日の目を浴びることはない。
「涼風さんの研究内容を使う代わりに僕を番にすると、仁居先生に言われたんです。だから……」
立花1人を救うよりも、その他大勢を救うほうが涼風の努力は報われる。
口に出さないまでも、立花の考えていることは涼風には伝わったようで、悲痛そうな顔を見せた。
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