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* Scent.7 *
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そんなひねくれた思考に陥ってしまう。
「包海さん、確かに美人だしねぇ。包海さん目当てのお客さんは、実際に結構いたし」
褒めても何も出ませんよ、と自分から突っ込むべきなのだろうか。
事情の知らない内田に全く悪気はないが、涼風の前で名字を出されるのは、立花には少し辛かった。
ふと昔のことを思い出していると、幸せな今が淡い夢のように思えてきて怖くなるときがある。
「もう包海さんじゃなくて。立花君の名字は俺と同じなんです」
「……えっ。え、え、そうなのっ!?」
立花も一緒になって叫びたかった。
涼風に「ね?」と同意を求められては、誤魔化す余地はない。
──僕が涼風さんになるっていうのは、えっと……け、結婚するっていう意味で言ってるの?
知らないところで話が進んでいて、立花のほうが「どういうこと?」と聞きたいくらいだった。
「それならそうって早く言ってよー。いいわねぇ……お幸せに。また今度、送別会とお祝いもしなきゃね」
祝福のムードに包まれ、涼風は満更でもない様子で「ありがとうございます」と返している。
想定外のことだらけで、誰がどう見ても立花の頬は朱に染まっていた。
恥ずかしくて堪らない。
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