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2-3.大切な子
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今日は近くのスーパーに食材を買いに来てた。
「じゃがいもにしめじに卵に…」
蓮夏に言われたものを買うと思ったより荷物が多くなった。袋2つ分か、…流石に持てるか。
蓮夏に役に立ちたい!と言って無理やりこうしてスーパーに来たけれど、蓮夏の表情を見たところあまり良い表情をしている様子はなかった。
何でだよ、幼児じゃあるまいし…買い物くらいできるよ。さすがに僕にだって…。
少々ツンとしながら歩道を歩いていると、人の視線を感じた。
すぐにふいっと後ろを振り返る。すると、黒髪の男の人が僕を見て固まって立っているように見える。誰だろう…?じっと見返していると、ハッとしたように男が頭をかいた。
「すみません、」
視線を逸らしぺこりと頭を下げる男の人。どうやら悪い人ではなさそうだけど。
「あの、名前…聞いてもいいですか」
「え?」
が、突然尋ねられた質問に少し驚いた。
「な、なんで…ですか?」
こういうのって、答えてもいいんだっけ…ダメなんだっけ。それにしてもなんで名前なんて知りたがるんだろう。もしかして、す、すす、ストーカーじゃないよね…?女の子じゃあるまいし、…まさか。
「実は…、以前あなたがテレビに出ているのを見かけて…それで」
「!」
“最近は物騒なんだよ、画面に映る咲太を見てストーカーする奴が出たら、たまらないよ”
蓮夏の言葉がこだまする。
そ、そんな、ほんとに…ストーカー!?
「それで、あの…」
「無理です!!!」
「…え?」
うわぁぁーーっっ!!!!
「えっ、咲太どうしたのっ?」
ぜえぜえと息を吐きながら家に帰ると、驚いた顔をした部屋着の蓮夏が僕を出迎える。
「い、いや、べ、別に何もないんだけど…っ」
しかし、何も無いのに全力疾走して帰る意味はなに?とすぐに蓮夏に吐かされた。
蓮夏はソファに座り腕を組み、神妙な顔つきをしている様子。
「蓮夏、あの…そんなに考えなくても大丈夫だよ。それにほんとにストーカーかよく分からなかったし…勘違いかもしれないし」
隣に座ってそう言うも、首を横に振る蓮夏。
「君の映るテレビを見て名前を尋ねたと言っている。どちらにしても危険だ。」
ちら、とこちらに目を向ける蓮夏。
それをきょとんとして見つめると、頭を引き寄せられる。
「……蓮夏?」
蓮夏の手に頭を撫でられ、自然と心地よい気持ちになる。
「俺は怖いんだ。…いつか咲太が俺の元から消えてしまうんじゃないか…って」
え…?
「どうして?悪いように考え過ぎだよ、蓮夏。僕一応男だし、誘拐とかは流石にされないと思…」
途中で言葉が途切れる。
蓮夏…手が、震えてる…?
「蓮夏、」
「咲太は、俺の弟だよ。俺の…大切な子なんだ。愛している。」
おでこに、ふにっと柔らかい何かが触れる。
これ、…蓮夏の唇?
蓮夏はそのまま、しばらく体を離してくれなかった。
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